弁護士等の士業の方は、顧客から受取る報酬の扱いが所得税法上、
事業所得なのか給与所得なのか判断に迷うことがあると思います。
これについて判例を参考に考えてみたいと思います。
【概要】
・X弁護士は×1年度から×3年度にいくつかの会社から受取った報酬を給与所得として申告した。
・これに対し甲税務署長は、当該報酬は事業所得にあたるとして更正処分を行った。
・X弁護士はこれを不服として申立を行った。
【事業所得と給与所得の区分】
事業所得と給与所得の区分について、判決で示された考え方は下記のとおりです。
1)事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性・有償性を有し
かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいう。
2)給与所得とは雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した
労務の対価として使用者から受ける給付をいう。
なお、給与所得については、給与支給者との関係において何らかの空間的、時間的な拘束を受け、
継続的ないし断続的に労務又は役務の提供があり、その対価として支給されるものであるかどうかが
重視されなければならない。
具体的な判断基準としては、拘束性や損失の危険負担、設備の利用状況などいくつかの要素を観察して
事業所得か給与所得かを区分することになります。
「実態を観察して判断する」と言われてもなかなか難しいですね。