所得税法では、生計を一にする配偶者その他の親族に給料を支払ったとしても、原則として必要経費に算入することはできません(所得税法56条)。ただし、配偶者その他の親族が専らその事業に従事している場合、事業専従者控除と青色事業専従者の制度により、所得控除或いは必要経費に算入することができるものとされています。
【事業専従者控除】
事業専従者控除は、配偶者その他の親族が専らその事業に従事している場合に所得控除を受けることができる制度です。この適用を受けるには、年間6か月を超える期間、専らその事業に従事することが要件になりますので、学生或いは他に職業のある方は、この制度の対象にはなりません。また、確定申告書に控除に関する事項の記載が必要になります。
控除できる金額は(1)と(2)のいずれか低い方の金額になります。
(1)事業専従者が配偶者である場合は86万円、その他の親族である場合は50万円
(2)事業所得等の金額 ÷ 専従者の数に1を加えた数
なお、事業専従者控除は白色申告者でも可能です。
【青色専従者】
青色申告者が、生計を一にする配偶者やその他の親族に給料を支払った場合、その事業に専ら従事していることを条件として支払った金額を必要経費に算入することができます。ただし、以下4つの条件に照らして、相当な金額であると認められる金額であることが必要になります。
(1)労務に従事した期間
(2)労務の性質及びその提供の程度
(3)その事業の種類及び規模
(4)その事業と同種の事業でその規模が類似するものが支給する給与の状況等に照らし、その労務の対価として相当であると認められること
青色専従者給与の適用を受ける場合は、その年の3月15日までに青色専従者給与の額などを記載した届出書を、税務署長に提出しなくてはなりません。また、給与の額が変更された場合も、遅滞なく変更届出書を提出します。
なお、青色専従者として給与の支払いを受けている者は、他の生計を一にする親族の控除対象配偶者にはできません。