Q.事業所得と給与所得はどのように区分されるのでしょうか?

 いわゆる非正規雇用で「業務委託契約」に基づき仕事を行っていたり、「左官」や「とび職」のような特殊技能職にありがちな「請負契約」に基づき仕事を行う者の報酬など、事業所得なのか給与所得なのか迷うことがよくあります。これらはどのように判定するのでしょうか。

「事業所得」とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性・有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいいます。一方、「給与所得」とは雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいいます。

具体的な判断基準として法令解釈通達(平成21年12月17日課個5-5)では、下記のような基準が示されています。

1)他人が代替して業務を遂行すること又は役務を提供することが認められるかどうか。

2)報酬の支払者から作業時間を指定される、報酬が時間を単位として計算されるなど時間的な拘束(業務上当然に存在する高速を除く)を受けるかどうか。

3)作業の具体的な内容や方法について報酬の支払者から指揮監督(業務時の性質上当然に存在する拘束を除く。)を受けるかどうか。

4)まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失するなどした場合において、自らの権利として既に遂行した業務又は提供した役務に係る報酬の支払いを請求できるかどうか。

5)材料又は用具等(軽微な材料や電動の手持ち工具程度の用具を除く)を報酬の支払者から供与されているかどうか。

2016年11月21日