第四十問(定型約款)

 【問題 40】

定型約款(注 1 )に関する次の①~④の記述のうち、民法上、その内容が適切でないものを1 つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① 定型取引を行い、又は行おうとする定型約款準備者(注 2 )は、定型約款を用いて契約を締結しようとする場合、事前に相手方にその定型約款の内容を示さなければならない。

② 定型約款の条項のうち、相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして民法第 1 条第 2 項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意をしなかったものとみなされる。

③ 定型約款準備者は、民法第 548 条の 4 (定型約款の変更)第 1 項の規定による定型約款の変更をするときは、その効力発生時期を定め、かつ、定型約款を変更する旨及び変更後の定型約款の内容並びにその効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法により周知しなければならない。

④ 定型約款準備者は、定型約款の変更が、相手方の一般の利益に適合する場合には、定型約款の変更をすることにより、変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなし、個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができる。

 

 

 

【正解】   ①

 

 

 

①(×)定型取引を行い、又は行おうとする定型約款準備者は、定型取引合意の前又は定型取引合意の後相当の期間内に相手方から請求があった場合には、遅滞なく、相当な方法でその定型約款の内容を示さなければならない。ただし、定型約款準備者が既に相手方に対して定型約款を記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供していたときは、この限りでない(民法548条の3)。

②(〇)定型約款の条項のうち、相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして第一条第二項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意をしなかったものとみなす(民法548条の2第2項)。

③(〇)定型約款準備者は、前項の規定による定型約款の変更をするときは、その効力発生時期を定め、かつ、定型約款を変更する旨及び変更後の定型約款の内容並びにその効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法により周知しなければならない(民法548条の4第2項)。

④(〇)定型約款準備者は、次に掲げる場合には、定型約款の変更をすることにより、変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなし、個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができる(民法548条の4第1項)。

 一 定型約款の変更が、相手方の一般の利益に適合するとき。

 二 定型約款の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、この条の規定により定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき。

 

 

 

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2021年12月16日