第15回講義レジュメ(民法⑥)

1.相続

被相続人の子は、相続人となる(第一順位)。第二順位は直系尊属(父母)、親等の異なる者の間では近い者がを先にする。第三順位が兄弟姉妹。

・被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は欠格事由に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる(代襲相続)。ただし被相続人の直系卑属でない者(兄弟姉妹)はこの限りでない。

被相続人の配偶者は、常に相続人となる。他に相続人となるべき者がある場合には、その者と同一順位となる。

(相続分)

・子と配偶者の場合・・・各2分の1

・配偶者と直系尊属の場合・・・配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1

・配偶者と兄弟姉妹の場合・・・配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1

・子、直系尊属、兄弟姉妹が複数人あるときは、それぞれ等分する。

・例えば子が2人と配偶者が相続人となった場合、配偶者は2分の1、子はそれぞれ2分の1×2分の1=4分の1が相続分となる。

・胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。

・相続人を死亡させ又は死亡させようとしたために刑に処せられた者、、詐欺又は強迫して遺言を書かせたりした者は、相続人となることができない(相続の欠格事由)。

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

・各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。

 

2.相続の承認・放棄

・相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

・相続の承認及び放棄は、撤回することができない

・相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。

・相続人が相続財産の全部又は一部を処分したときは、単純承認したものとみなす。

・限定承認または相続の放棄をした者であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿、消費、悪意で像族財産の目録に記載しなかったときは単純承認したものとみなす。

・相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる(限定承認)。

・相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。

・相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。

・相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす

・相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。

 

3.遺言

十五歳に達した者は、遺言をすることができる。

・遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。

・遺言は、自筆証書公正証書又は秘密証書によってしなければならない。

・自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これにを押さなければならない。

・自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

・遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。

・遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。

・前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。

・遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができない。

 

4.遺留分

兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次に定める割合に相当する額を受ける。

 ① 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の三分の一

 ② ①以外の場合 被相続人の財産の二分の一

・遺留分権利者及びその承継人は、受遺者又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる(遺留分侵害額の請求)。

 

5.配偶者居住権

・被相続人の配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次のいずれかに該当するときは、その居住していた建物の全部について無償で使用及び収益をする権利を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない。

 ① 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。

 ② 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。

・居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しない。

・配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間とする。ただし、遺産の分割の協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによる。

・配偶者は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用及び収益をしなければならない。ただし、従前居住の用に供していなかった部分について、これを居住の用に供することを妨げない。

・配偶者居住権は、譲渡することができない。

・配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増築をし、又は第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせることができない。

 

 

2022年09月20日