第16回講義レジュメ(会計)

1.一般原則

(1)真実性の原則

企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して、真実な報告を提供するものでなければならない。

(2)正規の簿記の原則

企業会計は、すべての取引につき、正規の簿記の原則に従って、正確な会計帳簿を作成しなければならない。

(3)資本取引・損益取引区別の原則

資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない

(4)明瞭性の原則

企業会計は、財務諸表によって、利害関係者に対し必要な会計事実を明瞭に表示し、企業の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない。

(5)継続性の原則

企業会計は、その処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない

(6)保守主義の原則

企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない。

(7)単一性の原則

株主総会提出のため、信用目的のため、租税目的のため等種々の目的のために異なる形式の財務諸表を作成する必要がある場合、それらの内容は、信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって、政策の考慮のために事実の真実な表示をゆがめてはならない

 

※重要性の原則(一般基準ではない)

企業会計は、定められた会計処理の方法に従って正確な計算を行うべきものであるが、企業会計が目的とするところは、企業の財務内容を明らかにし、企業の状況に関する利害関係者の判断を誤らせないようにすることにあるから、重要性の乏しいものについては、本来の厳密な会計処理によらないで他の簡便な方法によることも正規の簿記の原則に従った処理として認められる

 

2.損益計算書原則

・損益計算書は、企業の経営成績を明らかにするため、一会計期間に属するすべての収益とこれに対応するすべての費用とを記載して経常利益を表示し、これに特別損益に属する項目を加減して当期純利益を表示しなければならない。

・.損益計算書には、営業損益計算経常損益計算及び純損益計算の区分を設けなければならない。

・売上総利益=売上高-売上原価

・営業利益=売上総利益-販売費・一般管理費

・経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用

・税引前当期利益=経常利益+特別利益-特別損失

・当期純利益=税引前当期利益-(法人税・住民税・事業税)

 

 

3.貸借対照表原則

・貸借対照表は、企業の財政状態を明らかにするため、貸借対照表日におけるすべての資産、負債 及び資本を記載し、株主、債権者その他の利害関係者にこれを正しく表示するものでなければならない。ただし、正規の簿記の原則に従って処理された場合に生じた簿外資産及び簿外負債は、貸借対照表の記載外におくことができる。

・貸借対照表は、資産の部、負債の部及び資本の部の三区分に分ち、さらに資産の部を流動資産固定資産及び繰延資産に、負債の部を流動負債及び固定負債に区分しなければならない。

・資産及び負債の項目の配列は、原則として、流動性配列法によるものとする。

・正常営業循環基準・・・企業の正常な営業活動にある項目を流動資産や流動負債に計上する方法、売掛金や買掛金、受取手形や支払手形などがある。

・1年基準・・・決算日の翌日から1年以内に決済されるものを流動資産や流動負債に計上する方法。

(流動資産)

 現金預金、市場性ある有価証券で一時的所有のもの、営業取引によって生じた受取手形、売掛金、商品、製品、半製品、原材料、仕掛品、前払費用(一年以内に費用となるもの)、未収収益、未収入金

(有形固定資産)

 建物、構築物、機械装置、船舶、車両運搬具、工具器具備品、土地、建設仮勘定

(無形固定資産)

 営業権、特許権、地上権、商標権

(投資その他の資産)

 子会社株式、流動資産に属しない有価証券、出資金、長期貸付金

(繰延資産)

 創立費、開業費、新株発行費、社債発行費、開発費

(流動負債)

 営業取引によって生じた支払手形、買掛金、1年以内に期限が到来する(借入金などの)債務、前受金、前受収益、賞与引当金、工事補償引当金、未払費用、未払金

(固定負債)

 社債、長期借入金、退職給付引当金

 

 

4.源泉徴収票

・源泉徴収票には「支払金額」「給与所得控除後の金額」「所得控除の合計額」「源泉徴収額」が記載される。

・支払金額は1年分の会社支払額であり、手取り額ではない。

・源泉徴収額は所得税の合計額であり、住民税は含まれていない

・社会保険料等の金額は、個人負担の金額であり会社負担の金額は含まれていない

・所得控除には社会保険料控除や生命保険料控除、住宅ローン控除等の合計額が記載される。

 

5.資力を明らかにする書面

・会社が発行するもの(主にサラリーマンの場合)

 源泉徴収票、給与支払明細書、支払調書

・税務申告書類(個人事業者その他)

 所得税の確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書

・税務署、市町村等が発行するもの

 納税通知書、納税証明書、所得証明書

・年金関係書類

 年金証書、年金通知書

 

2022年09月20日