第9回講義レジュメ(貸金業法⑨)

1.指定信用情報機関

指定信用情報機関はとは、内閣総理大臣の指定を受け、信用情報提供等業務を行う機関である。

・「信用情報」とは、資金需要者である顧客又は債務者の借入金の返済能力に関する情報をいう。

・「個人信用情報」とは、個人を相手方とする貸付けに係る契約(極度方式基本契約その他の内閣府令で定めるものを除く。)に係る下記の事項である。

(1)個人を識別する情報

 ① 氏名(ふりがなを付す。)

 ② 住所

 ③ 生年月日

 ④ 電話番号

 ⑤ 勤務先の商号又は名称

 ⑥ 運転免許証等の番号(当該個人顧客が運転免許証等の交付を受けている場合に限る。)

 ⑦ その他旅券等で本人確を行った場合における、本人確認書類の記号番号。 

(2)契約年月日

(3)貸付けの金額

(4)元本又は利息の支払の遅延の有無

・加入貸金業者における個人情報の提供

(信用情報提供契約を締結したとき)

加入貸金業者は、指定信用情報機関と信用情報提供契約を締結したときは、当該信用情報提供契約の締結前に締結した資金需要者である個人の顧客を相手方とする貸付けに係る契約(極度方式基本契約を除く。)で当該信用情報提供契約を締結した時点において貸付けの残高があるものについて、顧客の氏名、生年月日、契約年月日、貸付の金額その他の事項を、当該指定信用情報機関に提供しなければならない。

(貸付けに係る契約をしたとき)

加入貸金業者は、資金需要者である個人の顧客を相手方とする貸付けに係る契約を締結したときは、遅滞なく、当該貸付けに係る契約に係る個人信用情報を信用情報提供契約を締結した指定信用情報機関(以下「加入指定信用情報機関」という。)に提供しなければならない。

(個人情報に変更があったとき)

個人信用情報の提供をした加入貸金業者は、当該提供をした個人信用情報に変更があつたときは、遅滞なく、その変更内容を加入指定信用情報機関に提供しなければならない。

・加入貸金業者は、加入指定信用情報機関に資金需要者等に係る信用情報の提供の依頼(当該資金需要者等に係る他の指定信用情報機関が保有する個人信用情報の提供の依頼を含む。)をする場合には、あらかじめ、当該資金需要者等から書面又は電磁的方法による同意を得なければならない。また、同意を得た場合には、記録を作成し、保存しなければならない。

・加入貸金業者又はその役員若しくは職員は、返済能力等調査以外の目的のために加入指定信用情報機関に信用情報の提供の依頼をし、又は加入指定信用情報機関から提供を受けた信用情報を返済能力等調査以外の目的に使用し、若しくは第三者に提供してはならない

・加入貸金業者又はその役員若しくは職員は、加入指定信用情報機関から提供を受けた信用情報について、これらの者に該当しなくなつたにおいて、当該信用情報を使用し、又は第三者に提供してはならない。

 

2.貸金業協会

貸金業協会は、貸金業における自主規制機関であり、都道府県ごとに支部がある。

(業務規程の記載事項)

 ① 協会員が営む貸金業に係る過剰貸付けの防止に関する事項(次号に掲げるものを除く。)

 ② 協会員がその貸金業の業務に関して資金需要者である個人の顧客と締結する極度方式基本契約で定められた条件のうち、一定期間における最低の返済額その他の返済に関する事項

 ③ 協会員がその貸金業の業務に関して行う広告の内容、方法、頻度及び審査に関する事項

 ④ 協会員がその貸金業の業務に関して行う勧誘に関する事項

 ⑤ 協会員がその貸金業の業務に関して行う債権の取立てに関する事項

 ⑥ 協会員に対する監査に関する事項

 ⑦ 協会員が営む貸金業の業務に対する資金需要者等(債務者等であつた者を含む。)からの苦情の解決に関する事項

 ⑧ 資金需要者等に対する借入れ及び返済に関する相談又は助言その他の支援に関する事項

 ⑨ 貸金業の業務に従事する者に対する研修に関する事項

 ⑩ 前各号に掲げるもののほか、協会の目的を達成するために必要な事項

・協会への加入は自由である。

・協会は、その定款において、協会員が、法令、法令に基づく行政官庁の処分又は当該協会の定款等に違反する行為をした場合に、当該協会員に対し、過怠金を課し、定款の定める協会員の権利の停止若しくは制限を命じ、又は除名する旨を定めなければならない。

・協会は、資金需要者等(債務者等であつた者を含む。)から協会員が営む貸金業の業務に関する苦情について解決の申出があつたときは、その相談に応じ、申出人に必要な助言をし、その苦情に係る事情を調査するとともに、当該協会員に対し、その苦情の内容を通知してその迅速な処理を求めなければならない。 また、協会は、当該苦情に係る事情及びその解決の結果について協会員に周知しなければならない。

・協会は、金融に係る知識の普及、啓発活動及び広報活動を通じて、資金需要者等の利益の保護の促進に努めなければならない。

 

3.利息制限法

・金銭を目的とする消費貸借における利息の契約は、その利息が次に定める利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分について、無効とする。

 ①  元本の額が十万円未満の場合 年20%

 ② 元本の額が十万円以上百万円未満の場合 年18%

 ③ 元本の額が百万円以上の場合 年15%

・利息の天引きをした場合において、天引額が債務者の受領額を元本として利息制限法に定める利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分は、元本の支払に充てたものとみなす。

・金銭を目的とする消費貸借に関し債権者の受ける元本以外の金銭は、礼金、割引金、手数料、調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず、利息とみなす。ただし、契約の締結及び債務の弁済の費用は、この限りでない。

 公租公課の支払に充てられるべきもの、強制執行の費用等担保権の実行としての手続費用等、弁済のために利用する現金自動支払機等の利用料はみなし利息に該当しない。

・金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が利息制限法に定める利息の一・四六倍を超えるときは、その超過部分について、無効とする。

営業的金銭消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が年二割を超えるときは、その超過部分について、無効とする。

・営業的金銭消費貸借上の債務を主たる債務とする保証(業として行うものに限る)がされた場合における保証料の契約は、その保証料が当該主たる債務の元本に係る法定上限額から当該主たる債務について支払うべき利息の額を減じて得た金額を超えるときは、その超過部分について無効とする。

・変動利率のときの保証料は次に定める金額を超えるときは、その超過部分が無効となる。

1)保証契約の時に債権者と保証人との合意により債権者が主たる債務者から支払を受けることができる利息の利率の上限(特約利率)の定めをし、かつ、債権者又は保証人が主たる債務者に当該定めを通知した場合は、法定上限額から特約上限利率により計算した利息の金額を減じて得た額。

2)上記以外の場合は、法定上限額の二分の一。

 

4.貸金業法における利息に関する規定

・貸金業者は、その利息(みなし利息を含む。)が利息制限法に規定する金額を超える利息の契約を締結してはならない。「みなし利息」とは、礼金、割引金、手数料、調査料その他いかなる名義をもつてするかを問わず、金銭の貸付けに関し債権者の受ける元本以外の金銭(契約の締結及び債務の弁済の費用であつて、次に掲げるものを除く。)のうち、金銭の貸付け及び弁済に用いるため債務者に交付されたカードの再発行の手数料その他の債務者の要請により債権者が行う事務の費用として政令で定めるものを除いたものをいう。

・みなし利息から除かれるもの

 ① 公租公課の支払に充てられるべきもの

 ② 強制執行の費用、担保権の実行としての競売の手続の費用その他公の機関が行う手続に関してその機関に支払うべきもの

 ③ 債務者が金銭の受領又は弁済のために利用する現金自動支払機その他の機械の利用料(政令で定める額の範囲内のものに限る。)

・貸金業者は、貸付けに係る契約の締結に際し、その相手方又は相手方となろうとする者に対し、保証料に係る契約(締結時において保証料の額又は保証料の主たる債務の元本に対する割合が確定していない保証料に係る契約として内閣府令で定めるものに該当するものに限る。)を、保証業者との間で締結することを当該貸付けに係る契約の締結の条件としてはならない

・金銭の貸借の媒介を行つた貸金業者は、当該媒介により締結された貸付けに係る契約の債務者から当該媒介の手数料を受領した場合において、当該契約につき更新(媒介のための新たな役務の提供を伴わないと認められる法律行為として内閣府令で定めるものを含む。)があつたときは、これに対する新たな手数料を受領し、又はその支払を要求してはならない

・貸金業者は、資金需要者等の利益の保護のために必要と認められる場合には、資金需要者等に対して、借入れ又は返済に関する相談又は助言その他の支援を適正かつ確実に実施することができると認められる団体を紹介するよう努めなければならない。

 

5.出資法

・金銭の貸付けを行う者が、年百九・五パーセントを超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。)の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。

・金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年二十パーセントを超える割合による利息の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。

・金銭の貸付け(金銭の貸付けを行う者が業として行うものに限る。)の保証を行う者が、当該保証に係る貸付けの利息と合算して当該貸付けの金額の年二十パーセントを超える割合となる保証料の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。当該割合を超える割合となる保証料を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。

金銭の貸借の媒介を行う者は、その媒介に係る貸借の金額の百分の五に相当する金額を超える手数料の契約をし、又はこれを超える手数料を受領してはならない。

 

2019年09月11日