第3回講義レジュメ(貸金業法③)

1.無登録営業・名義貸しの禁止

・貸金業法の登録を受けない者は、貸金業を営んではならない。

・貸金業を営む旨の表示・広告・貸付の契約締結に関する勧誘も禁止(登録申請中であっても禁止)。

・貸金業者登録簿に登録された営業所又は事務所以外の営業所又は事務所を設置して貸金業を営んではならない。

・貸金業の登録を受けた者は、自己の名義をもつて、他人に貸金業を営ませてはならない。

 

2.貸金業務取扱主任者の設置

・営業所・事務所ごとに、貸金業の業務に従事する者50人に1人以上の割合で設置。

・異なる営業所・事務所の兼任はできない。

・貸金業務取扱主任者は常勤者であることが求められる(必ずしも常駐する必要はない)。

・自動契約受付機、現金自動設備のみにより貸付業務を行う場合は兼任可(例外)。

・貸金業務取扱主任者は、営業所又は事務所において貸金業の業務に従事する使用人その他の従業者に対する助言又は指導を行う。

・貸金業者は、貸金業務取扱主任者が助言又は指導に係る職務を適切に遂行できるよう必要な配慮をしなければならず、貸金業の業務に従事する使用人その他の従業者は、貸金業務取扱主任者の助言を尊重するとともに、指導に従わなければならない。

予見し難い事由により貸金業務取扱主任者が不足することとなった場合には、2週間以内に必要な措置をとらなければならない。(定年による退職や産休など、予め把握できる事由については、この適用は無い。)

・資金需要者等から請求があった場合、当該営業所・事務所の貸金業務取扱主任者の氏名を明らかにしなければならない。

 

 

3.従業者証明書、従業者名簿

・貸金業者は貸金業の業務に従事する使用人その他の従業者に、その従業者であることを証する証明書を携帯させなければ、その者をその業務に従事させてはならない。

営業所又は事務所ごとに、従業者名簿を備え、従業者の氏名、住所、前項の証明書の番号その他内閣府令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。

・従業者名簿は、最終の記載をした日から10年間保存しなければならない。

(従業者名簿の記載事項)

 1)従業者の氏名・住所・生年月日

 2)従業者証明書の番号

 3)主たる職務の内容

 4)貸金業務取扱主任者であるか否かの別

 5)貸金業務取扱主任者はその登録番号

 

4.帳簿の備付け・閲覧

・貸金業者は、営業所又は事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え、債務者ごとに貸付けの契約について契約年月日、貸付けの金額、受領金額その他内閣府令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。

・保存期間は10年

・営業所等が現金自動設備である場合には、帳簿の備付け義務はない(例外)。

・債務者等又は債務者等であつた者等は、貸金業者に対し、帳簿(利害関係がある部分に限る。)の閲覧又は謄写を請求することができる。この場合において、貸金業者は、当該請求が当該請求を行つた者の権利の行使に関する調査を目的とするものでないことが明らかであるときを除き、当該請求を拒むことができない。

(帳簿の記載事項)

 1)契約年月日

 2)貸付金額

 3)受領金額

 4)保証契約に関する事項

 5)債権譲渡に関する事項

 6)債務者・保証人等との交渉記録

 

5.禁止行為

・資金需要者等に対し、虚偽のことを告げ、又は貸付けの契約の内容のうち重要な事項を告げない行為

・資金需要者等に対し、不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤認させるおそれのあることを告げる行為。

・保証人となろうとする者に対し、主たる債務者が弁済することが確実であると誤解させるおそれのあることを告げる行為

・上記のほか、偽りその他不正又は著しく不当な行為

 

6.生命保険契約に係る制限

・貸金業者は、貸付けの契約(住宅資金貸付契約等を除く。)の相手方又は相手方となろうとする者の死亡によつて保険金の支払を受けることとなる保険契約を締結しようとする場合には、当該保険契約において、自殺による死亡を保険事故としてはならない

 

7.相談及び助言

・貸金業者は、資金需要者等の利益の保護のために必要と認められる場合には、資金需要者等に対して、借入れ又は返済に関する相談又は助言その他の支援を適正かつ確実に実施することができると認められる団体を紹介するよう努めなければならない。

 

8.個人の資金需要者等に関する情報の安全管理措置等

・貸金業者は、その取り扱う個人である資金需要者等に関する情報の安全管理、従業者の監督及び当該情報の取扱いを委託する場合には、その委託先の監督について、当該情報の漏えい、滅失又は毀損の防止を図るために必要かつ適切な措置を講じなければならない。

 

9.個人の資金需要者等に関する情報の漏えい等の報告

・貸金業者は、その取り扱う個人である資金需要者等に関する情報(個人情報の保護に関する法律第十六条第三項に規定する個人データに該当するものに限る。)の漏えい、滅失若しくは毀損が発生し、又は発生したおそれがある事態が生じたときは、当該事態が生じた旨を管轄財務局長又は都道府県知事に速やかに報告することその他の適切な措置を講じなければならない。

 

10.返済能力情報の取扱い

・貸金業者は、信用情報に関する機関(資金需要者等の借入金返済能力に関する情報の収集及び貸金業者に対する当該情報の提供を行うものをいう。)から提供を受けた情報であつて個人である資金需要者等の借入金返済能力に関するものを、資金需要者等の返済能力の調査以外の目的のために利用しないことを確保するための措置を講じなければならない。

 

11.特別の非公開情報の取扱い

・貸金業者は、その取り扱う個人である資金需要者等に関する人種、信条、門地、本籍地、保健医療又は犯罪経歴についての情報その他の特別の非公開情報(その業務上知り得た公表されていない情報をいう。)を、適切な業務の運営の確保その他必要と認められる目的以外の目的のために利用しないことを確保するための措置を講じなければならない。

 

2022年09月20日