第5回講義レジュメ(貸金業法⑤)

1.総量規制の除外(個人過剰貸付契約から除かれる契約

 ① 不動産の建設若しくは購入に必要な資金(借地権の取得に必要な資金を含む。)又は不動産の改良に必要な資金の貸付けに係る契約

 ② 自ら又は他の者により前号に掲げる契約に係る貸付けが行われるまでのつなぎとして行う貸付けに係る契約

 ③ 自動車の購入に必要な資金の貸付けに係る契約のうち、当該自動車の所有権を貸金業者が取得し、又は当該自動車が譲渡により担保の目的となつているもの

 ④ 個人顧客又は当該個人顧客の親族で当該個人顧客と生計を一にする者の高額医療費を支払うために必要な資金の貸付けに係る契約

 ⑤  有価証券を担保とする貸付けに係る契約(担保に供する当該有価証券の購入に必要な資金の貸付けに係る契約を含み、貸付けの金額が当該貸付けに係る契約の締結時における当該有価証券の時価の範囲内であるものに限る。)

 ⑥  不動産(借地権を含み、個人顧客若しくは担保を提供する者の居宅、居宅の用に供する土地若しくは借地権又は当該個人顧客若しくは担保を提供する者の生計を維持するために不可欠なものを除く。)を担保とする貸付けに係る契約であつて、当該個人顧客の返済能力を超えないと認められるもの

 ⑦  売却を予定している個人顧客の不動産(借地権を含む。)の売却代金により弁済される貸付けに係る契約であつて、当該個人顧客の返済能力を超えないと認められるもの(貸付けの金額が当該貸付けに係る契約の締結時における当該不動産の価格の範囲内であるものに限り、当該不動産を売却することにより当該個人顧客の生活に支障を来すと認められる場合を除く。)

 ⑧ 手形の割引

 ⑨ 金銭の貸借の媒介に係る契約

 

2.例外貸付(個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約等

 ① 債務を既に負担している個人顧客が当該債務を弁済するために必要な資金の貸付けに係る契約であつて、次に掲げるすべての要件に該当するもの。

 イ 当該貸付けに係る契約の一月の負担が当該債務に係る一月の負担を上回らないこと。

 ロ 当該貸付けに係る契約の将来支払う返済金額の合計額と当該貸付けに係る契約の締結に関し当該個人顧客が負担する元本及び利息以外の金銭の合計額の合計額が当該債務に係る将来支払う返済金額の合計額を上回らないこと。

 ハ 当該債務につき供されている物的担保以外の物的担保を供させないこと。

 ニ 当該貸付けに係る契約に基づく債権につき物的担保を供させるときは、当該物的担保の条件が当該債務につき供されていた物的担保の条件に比して物的担保を供する者に不利にならないこと。

 ホ 当該債務に係る保証契約の保証人以外の者を当該貸付けに係る契約の保証契約の保証人としないこと。

 ヘ 当該貸付けに係る契約について保証契約を締結するときは、当該保証契約の条件が当該債務に係る保証契約の条件に比して保証人に不利にならないこと。

 ②  債務を既に負担している個人顧客が当該債務を弁済するために必要な資金の貸付けに係る契約であつて、次に掲げるすべての要件に該当するもの

 イ 当該個人顧客が弁済する債務のすべてが、当該個人顧客が貸金業者と締結した貸付けに係る契約に基づき負担する債務であつて、貸金業者又は法第四十三条 の規定により貸金業者とみなされる者を債権者とするものであること。

 ロ 当該貸付けに係る契約の貸付けの利率が、当該個人顧客が弁済する債務に係る貸付けに係る契約の貸付けの利率(当該個人顧客が弁済する債務に係る貸付けに係る契約が二以上ある場合は、弁済時における貸付けの残高(極度方式基本契約に基づく極度方式貸付けにあつては、当該極度方式基本契約に基づく極度方式貸付けの残高の合計額。ハにおいて同じ。)により加重平均した貸付けの利率)を上回らないこと。

 ハ 当該貸付けに係る契約に基づく定期の返済により、当該貸付けの残高が段階的に減少することが見込まれること。

 ニ 前号イ及びハからへまでに掲げるすべての要件に該当すること。

 ③ 個人顧客又は当該個人顧客の親族で当該個人顧客と生計を一にする者の緊急に必要と認められる医療費(所得税法第七十三条第二項 に規定する医療費をいう。次項において同じ。)を支払うために必要な資金の貸付けに係る契約

 ④ 個人顧客が特定費用(特定緊急貸付契約)を支払うために必要な資金の貸付けに係る契約

   特定緊急貸付契約⇒返済能力を超えない、緊急個人顧客合算額が10万円を超えない、返済期間が3ヶ月を超えない。

 ⑤ 個人顧客を相手方とする貸付けに係る契約であつて、当該個人顧客に係る個人顧客合算額と当該個人顧客の配偶者に係る個人顧客合算額を合算した額が、年収の3分の1以下となる貸付の契約(当該貸付けに係る契約を締結することについて当該個人顧客の配偶者の同意がある場合に限る)。

 ⑥ 事業を営む個人顧客に対する貸付けに係る契約であつて、次に掲げるすべての要件に該当するもの

 イ 実地調査、当該個人顧客の直近の確定申告書の確認その他の方法により当該事業の実態が確認されていること。

 ロ 当該個人顧客の事業計画、収支計画及び資金計画(この号に掲げる契約に係る貸付けの金額が百万円を超えないものであるときは、当該個人顧客の営む事業の状況、収支の状況及び資金繰りの状況。以下同じ。)に照らし、当該個人顧客の返済能力を超えない貸付けに係る契約であると認められること。

 ⑦  現に事業を営んでいない個人顧客に対する新たな事業を行うために必要な資金の貸付けに係る契約であつて、次に掲げるすべての要件に該当するもの

 イ 事業計画、収支計画及び資金計画の確認その他の方法により確実に当該事業の用に供するための資金の貸付けであると認められること。

 ロ 当該個人顧客の事業計画、収支計画及び資金計画に照らし、当該個人顧客の返済能力を超えない貸付けに係る契約であると認められること。

 ⑧ 金融機関からの貸付けが行われるまでのつなぎとして行う貸付けに係る契約(極度方式基本契約を除く。)であつて、次に掲げるすべての要件に該当するもの

 イ 正規貸付けが行われることが確実であると認められること。

 ロ 返済期間が一月を超えないこと。

 

 

 

2022年09月20日