第4回講義レジュメ(貸金業法④)

1.標識の掲示

・貸金業者は、営業所又は事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、標識を掲示しなければならない。

・自動契約受付機のみであっても、それは営業所となるので標識の設置義務がある。

2.貸付条件等の掲示

・貸金業者は、内閣府令で定めるところにより、営業所又は事務所ごとに、顧客の見やすい場所に、次に掲げる事項を掲示しなければならない。

 ① 貸付けの利率

 ② 返済の方式

 ③ 返済期間及び返済回数

 ④ 当該営業所又は事務所に置かれる貸金業務取扱主任者の氏名

 ⑤ 賠償額の予定(違約金を含む)に関する定めをする場合における当該賠償額の元本に対する割合 ⑥ 担保を供することが必要な場合における当該担保に関する事項

 ⑦ 主な返済の例 

 ⑧ 金銭の貸借の媒介における媒介手数料

 

3.貸付条件の広告等

・貸金業者は、貸付けの条件について広告をするとき、又は貸付けの契約の締結について勧誘をする場合において貸付けの条件を表示し、若しくは説明するときは、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を表示し、又は説明しなければならない。

 ① 貸金業者の商号、名称又は氏名及び登録番号

 ② 貸付けの利率

 ③ 返済の方式並びに返済期間及び返済回数

 ④ 賠償額の予定(違約金を含む)に関する定めをする場合における当該賠償額の元本に対する割

 ⑤ 担保を供することが必要な場合における当該担保に関する事項

 ⑥ 金銭の貸借の媒介における媒介手数料

 ⑦ 貸金業者登録簿に登録されたホームページアドレス又は電子メールアドレスを表示し、又は説明するとき 貸金業者登録簿に登録された電話番号

・貸金業者は、貸付条件等に関する広告をし、又は書面若しくはこれに代わる電磁的記録を送付して勧誘をするときは、電話番号その他の連絡先等については、これに貸金業者登録簿に登録されたもの以外のものを表示し、又は記録してはならない。

 

4.誇大広告等の禁止

・貸金業者は、その貸金業の業務に関して広告又は勧誘をするときは、貸付けの利率その他の貸付けの条件について、著しく事実に相違する表示若しくは説明をし、又は実際のものよりも著しく有利であると人を誤認させるような表示若しくは説明をしてはならない。

(広告に表示または説明してはならない事項)

 ① 資金需要者等を誘引することを目的とした特定の商品を当該貸金業者の中心的な商品であると誤解させるような表示又は説明

 ② 他の貸金業者の利用者又は返済能力がない者を対象として勧誘する旨の表示又は説明

 ③ 借入れが容易であることを過度に強調することにより、資金需要者等の借入意欲をそそるような表示又は説明

 ④ 公的な年金、手当等の受給者の借入意欲をそそるような表示又は説明

 ⑤ 貸付けの利率以外の利率を貸付けの利率と誤解させるような表示又は説明

・貸金業者は、資金需要者等の知識、経験、財産の状況及び貸付けの契約の締結の目的に照らして不適当と認められる勧誘を行つて資金需要者等の利益の保護に欠け、又は欠けることとなるおそれがないように、貸金業の業務を行わなければならない。

・貸金業者は、貸付けの契約の締結を勧誘した場合において、当該勧誘を受けた資金需要者等から当該貸付けの契約を締結しない旨の意思(当該勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)が表示されたときは、当該勧誘を引き続き行つてはならない。

・貸金業者は、その貸金業の業務に関して広告又は勧誘をするときは、資金需要者等の返済能力を超える貸付けの防止に配慮するとともに、その広告又は勧誘が過度にわたることがないように努めなければならない。

 

5.再勧誘に関する自主規制

・資金需要者等が、協会員からの勧誘を一切拒否する旨の強い意思表示を行った場合( 例えば、資金需要者等から協会員に対して「今後一切の連絡を断る」旨の意思の表示が明示的にあった場合等)

 ⇒最低1 年間は一切の勧誘を見合わせる

・資金需要者等が、協会員が勧誘を行った取引に係る勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の明確な意思の表示を行った場合( 例えば、当該勧誘対象者から協会員に対して、勧誘に係る取引について「今はいらない。」「当面は不要である。」等の一定の期間当該取引に係る勧誘を拒否する旨の意思を明示的に表示した場合等)

 ⇒最低6 ヶ月間は当該勧誘に係る取引及びこれと類似する取引の勧誘を見合わせる

・上記以外の場合であって、当該勧誘対象者が勧誘に係る取引についての契約を締結しない旨の意思を表示した場合

 ⇒最低3 ヶ月間は当該勧誘に係る取引及びこれと類似する取引の勧誘を見合わせる

 

6.過剰貸付けの禁止(総量規制)

・貸金業者は、貸付けの契約を締結しようとする場合において、当該貸付けの契約が個人過剰貸付契約その他顧客等の返済能力を超える貸付けの契約と認められるときは、当該貸付けの契約を締結してはならない。

「個人過剰貸付契約」とは、個人顧客を相手方とする貸付けに係る契約で、当該貸付けに係る契約を締結することにより、当該個人顧客に係る個人顧客合算額(住宅資金貸付契約等に係る貸付けの残高を除く。)が当該個人顧客に係る基準額(その年間の給与及びこれに類する定期的な収入の金額を合算した額に三分の一を乗じて得た額をいう。)を超えることとなるものをいう。

・個人顧客合算額には、当社の貸付の残高に加え、指定信用情報機関から入手した他社の借入残高も含まれる。

(給与及びこれに類する定期的な収入の具体例)

① 年間の年金の金額

② 年間の恩給の金額

③ 年間の定期的に受領する不動産の賃貸収入(事業として行う場合を除く。)の金額

④ 年間の事業所得の金額(過去の事業所得の状況に照らして安定的と認められるものに限る)の金額

(収入の金額の算出方法)

① 書面を用いて算出する方法

 ・源泉徴収票

 ・支払調書

 ・給与の支払明細書

 ・確定申告書

 ・青色申告決算書

 ・収支内訳書

 ・納税通知書、納税証明書

 ・所得証明書

 ・年金証書、年金通知書

② 上記書面に記載されている直近2か月分以上の給与の金額の一か月当り平均額に12を乗じて算出する方法

③上記書面に記載されている地方税額を基に合理的に算出する方法

 

・年間の給与の金額を算出する場合において、上記書面に過去一年以内の賞与の金額を確認したときは、当該賞与の金額を年間の給与の金額に含めることができる。

 

 

 

2022年09月20日