第10回講義レジュメ(民法①)

1.意思能力

・法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。

 

2.成年

・年齢十八歳をもって、成年とする。

 

3.未成年者

・未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。

・法定代理人の同意を得ないで行われた法律行為は、取り消すことができる

・法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

・一種又は数種の営業を許可された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。この場合、未成年者がその営業に堪えることができない事由がああるときは、法定代理人はその営業を取消し、又はこれを制限することができる。

・未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる。

・未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす

 

4.成年被後見人

・精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、その他法定の者の請求により、後見開始の審判をすることができる。

成年被後見人の法律行為は取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。

・成年後見人の同意を得て行った行為でも取り消すことができる。

 

5.被保佐人

・精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、その他法定の者の請求により保佐開始の審判をすることができる。

・被保佐人が次に掲げる行為をするには、保佐人の同意を得なければならない。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。

 ① 元本を領収し、又は利用すること。

 ② 借財又は保証をすること。

 ③ 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。

 ④ 訴訟行為をすること。

 ⑤ 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法 (平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項 に規定する仲裁合意をいう。)をすること。

 ⑥ 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。

 ⑦ 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。

 ⑧ 新築、改築、増築又は大修繕をすること。

 ⑨ 土地の賃貸借(5年)、建物の賃貸借(3年)、動産(6か月)など第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。

・保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。

・保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。

 

6.被補助人

・精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、その他法定の者の請求により、補助開始の審判をすることができる。

・本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。

・審判によりその同意を得なければならないものとすることができる行為は、保佐人の同意を必要とする行為の一部に限られる。

・補助人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる

 

7.制限行為能力者の相手方の催告権

 制限行為能力者の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者となった後、その者に対し、1か月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。 法定代理人、保佐人又は補助人に対して催告した場合においても同じ。

 

8.制限行為能力者の詐術

 制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない

 

9.公序良俗

 公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は無効とする。

 

 

2022年09月20日