1.受取証書の交付
貸金業者は、貸付けの契約に基づく債権の全部又は一部について弁済を受けたときは、その都度、直ちに、次に掲げる事項を記載した書面を当該弁済をした者に交付しなければならない。
① 貸金業者の商号、名称又は氏名及び住所
② 契約年月日
③ 貸付けの金額(保証契約にあつては、保証に係る貸付けの金額。)
④ 受領金額及びその利息、賠償額の予定に基づく賠償金又は元本への充当額
⑤ 受領年月日
⑥ 弁済を受けた旨を示す文字
⑦ 貸金業者の登録番号
⑧ 債務者の商号、名称又は氏名
⑨ 債務者(貸付けに係る契約について保証契約を締結したときにあつては、主たる債務者)以外の者が債務の弁済をした場合においては、その者の商号、名称又は氏名
⑩ 当該弁済後の残存債務の額
・貸金業者の登録番号、債務者の商号、名称又は氏名については、弁済を受けた債権に係る貸付けの契約を契約番号その他により明示することをもつて、当該事項の記載に代えることができる。
・受取証書の記載事項は、日本工業規格Z八三〇五に規定する八ポイント以上の大きさの文字及び数字を用いて明瞭かつ正確に記載しなければならない。
・預金又は貯金の口座に対する払込みにより弁済を受ける場合にあつては、当該弁済をした者の請求があつた場合に限り、適用する。
・貸金業者は、極度方式貸付けに係る契約又は当該契約の基本となる極度方式基本契約に係る極度方式保証契約に基づく債権の全部又は一部について弁済を受けた場合において、当該弁済をした者に対し、その者の承諾を得て、一定期間における貸付け及び弁済その他の取引の状況を記載した書面(マンスリーステートメント)を交付するときは、受取証書の交付に代えて、受領年月日、受領金額等を記載した書面を交付することができる。
・債権譲渡があった場合、債権を譲受けた者が受取証書を交付しなければならない。
2.債権証書の返還
貸金業者は、貸付けの契約に基づく債権についてその全部の弁済を受けた場合において当該債権の証書を有するときは、遅滞なく、これをその弁済をした者に返還しなければならない。
3.取立て行為の規制
貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。
① 正当な理由がないのに、社会通念に照らし不適当と認められる時間帯として内閣府令で定める時間帯に、債務者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。
② 債務者等が弁済し、又は連絡し、若しくは連絡を受ける時期を申し出た場合において、その申出が社会通念に照らし相当であると認められないことその他の正当な理由がないのに、法令で禁止される時間帯(午後9時から午前8時)に、債務者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。
③ 正当な理由がないのに、債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所に電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所を訪問すること。
④ 債務者等の居宅又は勤務先その他の債務者等を訪問した場所において、債務者等から当該場所から退去すべき旨の意思を示されたにもかかわらず、当該場所から退去しないこと。
⑤ はり紙、立看板その他何らの方法をもつてするを問わず、債務者の借入れに関する事実その他債務者等の私生活に関する事実を債務者等以外の者に明らかにすること。
⑥ 債務者等に対し、債務者等以外の者からの金銭の借入れその他これに類する方法により貸付けの契約に基づく債務の弁済資金を調達することを要求すること。
⑦ 債務者等以外の者に対し、債務者等に代わつて債務を弁済することを要求すること。
⑧ 債務者等以外の者が債務者等の居所又は連絡先を知らせることその他の債権の取立てに協力することを拒否している場合において、更に債権の取立てに協力することを要求すること。
⑨ 債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士若しくは弁護士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法 人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。
⑩ 債務者等に対し、上記のいずれかに掲げる言動をすることを告げること。
(正当な理由があると考えられる事例)
1)債務者の自発的な承諾がある場合
2)債務者と連絡を取る合理的な方法がないとき
・貸金業者又は取立の依頼を受けた者は、債務者等に対し、支払を催告するために書面又はこれに代わる電磁的記録を送付するときは、当該書面に封をする方法、本人のみが使用していることが明らかな電子メールアドレスに電子メールを送付する方法その他の債務者の借入れに関する事実が債務者等以外の者に明らかにならない方法により行わなければならない。
(取立の委託を受けた者)
貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、債務者等に対し、支払を催告するために書面又はこれに代わる電磁的記録を送付するときは、これに次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
① 貸金業を営む者の商号、名称又は氏名及び住所並びに電話番号
② 当該書面又は電磁的記録を送付する者の氏名
③ 契約年月日
④ 貸付けの金額
⑤ 貸付けの利率
⑥ 支払の催告に係る債権の弁済期
⑦ 支払を催告する金額
⑧ 支払の催告時における当該催告に係る残存債務の額
⑨ 支払を催告する金額の内訳(元本、利息及び債務の不履行による賠償額の別をいう。)
⑩ 書面又はこれに代わる電磁的記録を保証人に対し送付する場合にあつては、保証契約の契約年月日及び保証債務の極度額その他の保証人が負担する債務の範囲
・貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たり、相手方の請求があつたときは、貸金業を営む者の商号、名称又は氏名及びその取立てを行う者の氏名等を、その相手方に明らかにしなければならない。 これには、委託を受けた者である旨の書面を交付する方法、送付する方法のほか、貸金業者である場合には従業者証明書の提示による方法がある。
4.債権譲渡に関する規制
・貸金業者は、貸付けに係る契約に基づく債権を他人に譲渡するに当たつては、その者に対し、当該債権が貸金業者の貸付けに係る契約に基づいて発生したこと、帳簿の備付や契約締結時書面の交付等について貸金業法の規制の適用がある旨を、通知しなければならない。
・貸金業者は、貸付けの契約に基づく債権の譲渡又は取立ての委託(以下「債権譲渡等」という。)をしようとする場合において、その相手方が次のいずれかに該当する者(取立て制限者)であることを知り、若しくは知ることができるとき、又は当該債権譲渡等の後取立て制限者が当該債権の債権譲渡等を受けることを知り、若しくは知ることができるときは、当該債権譲渡等をしてはならない。
① 暴力団員等
② 暴力団員等がその運営を支配する法人その他の団体又は当該法人その他の団体の構成員
③ 貸付けの契約に基づく債権の取立てに当たり、取立て行為の規制に違反し、又は刑法 若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯すおそれが明らかである者
・貸金業者は、密接な関係を有する者(貸金業者の親族、貸金業者の支配株主等)に貸付けの契約に基づく債権の債権譲渡等をしたときは、その相手方が当該債権の取立てに当たり取立行為の規制に違反し、又は刑法 若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯さないように、相当の注意を払わなければならない。
・貸付けに係る契約に基づく債権を他人に譲渡した場合は、2週間以内に登録官庁に届け出なければならない。
5.債権証書の返還
貸金業者は、貸付の契約に基づく債権についてその全部の弁済を受けた場合において当該債権の証書を有するときは、遅滞なく、これをその弁済をした者に返還しなければならない。