第三十九問(債権譲渡)

 【問題 39】

債権の譲渡に関する次の①~④の記述のうち、民法上、その内容が適切でないものを 1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① 債務者は、譲渡制限の意思表示(注 1 )がされた金銭の給付を目的とする債権が譲渡されたときは、その債権の全額に相当する金銭を債務の履行地(債務の履行地が債権者の現在の住所により定まる場合にあっては、譲渡人の現在の住所を含む。)の供託所に供託することができる。

② 債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない。

③ 債権の譲渡は、譲渡人が債務者に確定日付のある証書による通知をし、又は債務者が確定日付のある証書による承諾をしなければ、債務者に対抗することができない。

④ 債務者が対抗要件具備時(注 2 )より後に取得した譲渡人に対する債権であっても、その債権が対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じたものであるときは、債務者は、その債権による相殺をもって譲受人に対抗することができる。ただし、債務者が対抗要件具備時より後に他人からその債権を取得した場合はこの限りでない。

(注 1 ) 譲渡制限の意思表示とは、当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示をいう。

(注 2 ) 対抗要件具備時とは、債権が譲渡された場合において、譲渡人が民法第 467 条(債権の譲渡の対抗要件)の規定による通知をし、又は債務者が同条の規定による承諾をした時をいう。

 

 

 

【正解】    ③

 

 

①(〇)債務者は、譲渡制限の意思表示がされた金銭の給付を目的とする債権が譲渡されたときは、その債権の全額に相当する金銭を債務の履行地(債務の履行地が債権者の現在の住所により定まる場合にあっては、譲渡人の現在の住所を含む。)の供託所に供託することができる(民法466条の2)。

②(〇)債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない(民法466条の6)。

③(×)債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない(民法467条1項)。

④(〇)債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することができる(民法469条1項)。債務者が対抗要件具備時より後に取得した譲渡人に対する債権であっても、その債権が次に掲げるものであるときは、前項と同様とする。ただし、債務者が対抗要件具備時より後に他人の債権を取得したときは、この限りでない(民法469条2項)。

 一 対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権

 二 前号に掲げるもののほか、譲受人の取得した債権の発生原因である契約に基づいて生じた債権

 

 

 

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2021年12月16日