第三十五問(強制執行)

 【問題 35】

強制執行手続に関する次の①~④の記述のうち、その内容が適切なものを 1 つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① 債権者が自己の貸金返還請求権につき執行証書(注)を有する場合における強制執行は、執行証書の正本に基づいて実施され、執行証書に執行文が付されていることを要しない。

② 不動産(登記することができない土地の定着物を除く。)に対する強制執行は、強制競売又は強制管理の方法により行われ、これらの方法は、併用することができない。

③ 動産に対する強制執行は、執行裁判所の差押命令により開始する。

④ 債務者が会社から受ける給料(毎月 25 日払い、月額 28 万円であるものとする。)に係る債権は、その支払期に受けるべき給付の 4 分の 3 に相当する部分は、差し押さえることができない。

(注) 執行証書とは、金銭の一定の額の支払又はその他の代替物もしくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているものをいう。

 

 

 

【正解】    ④

 

 

 

①(×)強制執行は、執行文の付された債務名義の正本に基づいて実施する(民事執行法25条1項)。

②(×)不動産(登記することができない土地の定着物を除く。)に対する強制執行は、強制競売又は強制管理の方法により行う。これらの方法は、併用することができる(民事執行法43条1項)。

③(×)動産(登記することができない土地の定着物、土地から分離する前の天然果実で一月以内に収穫することが確実であるもの及び裏書の禁止されている有価証券以外の有価証券を含む。)に対する強制執行は、執行官の目的物に対する差押えにより開始する(民事執行法122条)。

④(〇)次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない(民事執行法152条1項)。

 一 債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権

 二 給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権

 

 

 

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2021年12月15日