第一九問(極度方式基本貸付に係る返済能力の調査)

【問題 19】

貸金業者であるAは、個人顧客であるBとの間で極度額を 50 万円とする極度方式基本契約(以下、本問において「本件基本契約」という。)を締結した。Aは、Bとの間で本件基本契約以外の貸付けに係る契約を締結していない。この場合に関する次の①~④の記述のうち、その内容が適切でないものを 1 つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① Aは、Bとの間の合意に基づき、極度額を 100 万円に増額した場合、その 2 年前にBから源泉徴収票の提出を受けているときは、Bから源泉徴収票その他の当該顧客の収入又は収益その他の資力を明らかにする事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録として内閣府令で定めるものの提出又は提供を受ける必要はない。

② Aは、Bに返済能力の低下が認められたことを理由に極度額を一時的に 10 万円に減額した後、Bとの間の合意に基づき、極度額を、本件基本契約を締結した当初の極度額に戻そうとする場合、Bの返済能力の調査を行わなければならない。

③ Aは、Bに返済能力の低下は認められないが、Bと連絡することができないために、極度額を一時的に 20 万円に減額した。その後、Aは、Bと連絡することができたことにより、極度額を、本件基本契約を締結した当初の極度額に戻そうとする場合、Bの返済能力の調査を行う必要はない。

④ Aは、Bとの間の合意に基づき、極度額を 100 万円に増額した場合、内閣府令で定めるところにより、極度額を増額した年月日、Bの資力に関する調査の結果等、Bの返済能力の調査に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。

 

 

 

【正解】   ①

 

 

 

①(×)源泉徴収票は一般に発行される直近の期間のものである必要がある(貸金業法施行規則10条の17第2項1号)。

②(〇)極度額を増額する場合には返済能力の調査が必要となる(貸金業法13条5項)。

③(〇)極度方式基本契約の相手方と連絡することができないことにより、極度額を一時的に減額していた場合(当該相手方の返済能力の低下による場合を除く。)に、当該相手方と連絡することができたことにより、極度額をその減額の前の額まで増額する場合には返済能力の調査は強制されない(貸金業法施行規則10条の19)。

④(〇)貸金業者は、返済能力の調査に関する記録を作成し、これを保存しなければならない(貸金業法13条の3第4項)。

 

 

 

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2021年12月15日