第三十二問(弁済)

 【問題 32】

弁済に関する次の①~④の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを 1 つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① 受領権者(債権者及び法令の規定又は当事者の意思表示によって弁済を受領する権限を付与された第三者をいう。)以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意であれば、過失の有無にかかわらず、その効力を有する。

② 当事者が第三者の弁済を禁止した場合は、弁済をするについて正当な利益を有する第三者であっても、弁済をすることができない。

③ 債務者が一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場合において、弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、弁済の充当の順序に関する合意の有無にかかわらず、これを順次に費用、利息及び元本に充当しなければならない。

④ 弁済の提供は、債権者があらかじめその受領を拒んでいるときであっても、弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすることでは足りず、債務の本旨に従って現実にしなければならない。

 

 

【正解】   ②

 

 

①(×)受領権者以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する(民法478条)。

②(〇)当事者が第三者の弁済を禁止した場合は、弁済をするについて正当な利益を有する第三者であっても、弁済をすることができない(民法474条4項)。

③(×)債務者が一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場合(債務者が数個の債務を負担する場合にあっては、同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担するときに限る。)において、弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、これを順次に費用、利息及び元本に充当しなければならない(民法489条1項)。

④(×)弁済の提供は、債務の本旨に従って現実にしなければならない。ただし、債権者があらかじめその受領を拒み、又は債務の履行について債権者の行為を要するときは、弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば足りる(民法493条)。

 

 

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2022年12月12日