第十問(利息に関する制限)

【問題 10】

内閣総理大臣の登録を受けた貸金業者であるA社は、個人顧客であるBとの間で元本を100万円、利息を年2割(20%)とする貸付けに係る契約(以下、本問において「本件貸付契約」という)を締結し、Bに対し100万円を貸し付けた。この場合に関する次の①〜④の記述のうち、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。なお、金利については2月29日を含まない年を前提とする。

① 貸金業法上、本件貸付契約自体が無効となるため、A社は、本件貸付契約に基づき、Bに利息を請求することができない。

② 本件貸付契約における利息の約定は、完全施行日後の利息制限法(以下、本問において「利息制限法」という)に規定する利息の制限に違反しているが、利息制限法上の制限利息の範囲内の利息は有効であるため、本件貸付契約における利息の約定のうち、年1割8分(18%)に相当する部分は有効である。

③ 本件貸付契約における利息の約定は、完全施行日後の出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律に違反しているため、A社は、本件貸付契約を締結したことを理由として、刑事罰を科されることがある。

④ 本件貸付契約における利息の約定は、利息制限法に規定する利息の制限に違反しているため、A社は、本件貸付契約を締結したことを理由として、内閣総理大臣からその登録を取り消され、又は年以内の期間を定めて、その業務の全部もしくは一部の停止命令の対象となることがある。

 

 

 

【正解】   ④

 

 

①(×)貸金業法上、当該契約は無効にはならないが、行政処分の対象となる。

②(×)元本が100万円の場合、利息制限法の上限は15%であり、これを超える部分が無効となる。

③(×)金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年二十パーセントを超える割合による利息の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する(出資法5条2項)。

④(○)利息制限法に規定する上限利率を上回る契約を締結した場合、本件貸付契約を締結したことを理由として、内閣総理大臣からその登録を取り消され、又は1年以内の期間を定めて、その業務の全部もしくは一部の停止命令の対象となることがある。

 

 

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2017年02月27日