第六問(特定公正証書)

【問題 6】

貸金業者であるA社は、資金需要者であるBとの間で貸付けに係る契約(以下、本問において「本件貸付契約」という)を締結するに際し、本件貸付契約に基づく債務の不履行の場合に直ちにBが強制執行に服する旨の陳述が記載された公正証書(以下、本問において「特定公正証書」という)を作成しようとしている。この場合に関する次の①〜④の記述のうち、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① A社は、本件貸付契約について、Bから、Bが特定公正証書の作成を公証人に嘱託することを代理人に委任することを証する書面(委任状)を取得してはならない。

② Bが特定公正証書の作成を公証人に嘱託することを代理人に委任する場合、A社は、Bのために適切な代理人を推薦しなければならない。

③ A社は、特定公正証書の作成を公証人に嘱託する場合、あらかじめ、Bに対し、本件貸付契約に基づく債務の不履行のときには、特定公正証書により、Bが直ちに強制執行に服することとなる旨を説明すれば、Bの法律上の利益に与える影響に関する事項については説明する必要はない。

④ A社は、Bとの間で本件貸付契約を締結するに先立ち、Bに対し、特定公正証書について口頭で説明すれば、特定公正証書の作成を公証人に嘱託する旨を約する契約を締結することができる。

 

 

【正解】   ①

 

①(○) 貸金業を営む者は、貸付けの契約について、債務者等から、当該債務者等が特定公正証書(債務者等が貸付けの契約に基づく債務の不履行の場合に直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載された公正証書をいう)の作成を公証人に嘱託することを代理人に委任することを証する書面を取得してはならない(貸金業法20条1項)。

②(×)貸金業を営む者は、貸付けの契約について、債務者等が特定公正証書の作成を公証人に嘱託することを代理人に委任する場合には、当該代理人の選任に関し推薦その他これに類する関与をしてはならない(貸金業法20条2項)。

③(×)貸金業者は、貸付けの契約について、特定公正証書の作成を公証人に嘱託する場合には、あらかじめ債務者等となるべき資金需要者等に対し、次に掲げる事項について書面を交付して説明しなければならない。

 1 当該貸付けの契約に基づく債務の不履行の場合には、特定公正証書により、債務者等が直ちに強制執行に服することとなる旨

 2 前号に掲げるもののほか、債務者等の法律上の利益に与える影響に関する事項として内閣府令で定めるもの

④(×)当該説明は書面を交付して説明しなければならない。

 

 

 

 第七問へ

2017年03月01日