第三十八問(抵当権)

【問題 38】

抵当権に関する次の①〜④の記述のうち、民法上、その内容が適切でないものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

② 抵当権の順位は、利害関係者の承諾があれば、各抵当権者の合意によって変更することができる。この抵当権の順位の変更は、当事者間の合意によりその効力を生じるが、その登記をしなければ、第三者に対抗できない。

③ 抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権もしくはその順位を譲渡し、もしくは放棄することができる。

④ 抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。債務者又は抵当権設定者でない者が抵当不動産について取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、抵当権は、これによって消滅する。

 

 

【正解】   ②

 

 

①(〇)抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する(民法369条1項)。

②(×)抵当権の順位は、利害関係者の承諾があれば、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない(民法374条1項)。当該順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない(民法374条2項)。

③(〇)抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権もしくはその順位を譲渡し、もしくは放棄することができる(民法376条1項)。

④(〇)抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない(民法396条)。債務者又は抵当権設定者でない者が抵当不動産について取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、抵当権は、これによって消滅する(民法397条)。

 

 

 

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2018年11月23日