第三十三問(相殺)

【問題 33】

AのBに対する金銭債権を「甲債権」とし、BのAに対する金銭債権を「乙債権」とする。甲債権と乙債権の相殺に関する次の①〜④の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① Bに対して貸付金債権を有するCの申立てに基づき乙債権が差し押さえられ、その差押命令がAに送達された後に、Aが甲債権を取得した場合、Aは、甲債権と乙債権との相殺をもってCに対抗することができる。

② 乙債権が差押えを禁じられたものである場合でも、Aは、甲債権と乙債権との相殺をもってBに対抗することができる。

③ 甲債権と乙債権とが相殺に適するようになった後に、甲債権が時効によって消滅した場合、Aは、甲債権と乙債権とを相殺することができない。

④ 甲債権が貸付金債権であり、乙債権が不法行為に基づく損害賠償債権である場合、Aは、甲債権と乙債権とを相殺することができない。

 

 

 

【正解】   ④

 

 

①(×)支払の差止めを受けた第三債務者は、その後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができない(民法511条)。

②(×)債権が差押を禁じたものであるときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない(民法510条)。

③(×)時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる(民法508条)。

④(〇)債務が不法行為によって生じたときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することが出来ない(民法509条)。

(民法改正後)次に掲げる債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。ただし、その債権者がその債務に係る債権を他人から譲り受けたときは、この限りでない(民法509条)。

 一 悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務

 二 人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務

 

 

 

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2018年11月23日