第二十五問(不祥事件)

【問題25】

貸金業者向けの総合的な監督指針(以下、本問において「監督指針」という。)における不祥事件に対する監督上の対応に関する次の①〜④の記述のうち、その内容が監督指針の記載に合致しないものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① 貸金業法施行規則第26条の25(開始等の届出)第1項第4号に規定する「役員又は使用人に貸金業の業務に関し法令に違反する行為又は貸金業の業務の適正な運営に支障を来す行為」(以下、本問において「不祥事件」という。)には、「貸金業の業務に関し、資金需要者等から告訴、告発され又は検挙された行為」が含まれる。

② 監督当局は、貸金業者において不祥事件が発覚し、当該貸金業者から第一報があった場合は、「社内規則等に則った内部管理部門への迅速な報告及び経営陣への報告」、「刑罰法令に抵触しているおそれのある事実については、警察等関係機関等への通報」、「独立した部署(内部監査部門等)での不祥事件の調査・解明の実施」について確認するものとする。

③ 監督当局は、不祥事件と貸金業者の業務の適切性の関係については、「不祥事件の発覚後の対応は適切か」、「不祥事件への経営陣の関与はないか、組織的な関与はないか」、「不祥事件の内容が資金需要者等に与える影響はどうか」、「内部牽制機能が適切に発揮されているか」、「再発防止のための改善策の策定や自浄機能は十分か、関係者の責任の追及は明確に行われているか」、「資金需要者等に対する説明や問い合わせへの対応等は適切か」の着眼点に基づき検証を行うこととする。

④ 監督当局は、不祥事件の届出があった場合には、事実関係、発生原因分析、改善・対応策等について深度あるヒアリングを実施し、貸金業法第24 条の6の10(報告徴収及び立入検査)に基づき報告書を徴収するとともに、直ちに、貸金業法第24 条の6の3(業務改善命令)の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。

 

 

 

【正解】   ④

 

 

①(〇)「役員又は使用人に貸金業の業務に関し法令に違反する行為又は貸金業の業務の適正な運営に支障を来す行為」を不祥事件といい、不祥事件とは、貸金業の業務に関し法令に違反する行為のほか、次に掲げる行為が該当する(監督指針Ⅱ-2-8)。

・貸金業の業務に関し、資金需要者等の利益を損なうおそれのある詐欺、横領、背任等。

・貸金業の業務に関し、資金需要者等から告訴、告発され又は検挙された行為。

・その他貸金業の業務の適正な運営に支障を来す行為又はそのおそれのある行為であって、上記に掲げる行為に準ずるもの。

②(〇)貸金業者において不祥事件が発覚し、当該貸金業者から第一報があった場合は、以下の点を確認するものとする。なお、貸金業者から第一報がなく届出書の提出があった場合にも、同様の取扱いとする(監督指針Ⅱ-2-8(1)①)。

 イ.社内規則等に則った内部管理部門への迅速な報告及び経営陣への報告。

 ロ.刑罰法令に抵触しているおそれのある事実については、警察等関係機関等への通報。

 ハ.独立した部署(内部監査部門等)での不祥事件の調査・解明の実施。

③(〇)不祥事件と貸金業者の業務の適切性の関係については、以下の着眼点に基づき検証を行うこととする(監督指針Ⅱ-2-8(1)②)。

 イ.不祥事件の発覚後の対応は適切か。

 ロ.不祥事件への経営陣の関与はないか。組織的な関与はないか。

 ハ.不祥事件の内容が資金需要者等に与える影響はどうか。

 ニ.内部牽制機能が適切に発揮されているか。

 ホ.再発防止のための改善策の策定や自浄機能は十分か、関係者の責任の追及は明確に行われているか。

 ヘ.資金需要者等に対する説明や問い合わせへの対応等は適切か。

④(×)不祥事件の届出があった場合には、事実関係(当該行為が発生した営業所等、当該行為者の氏名・職名・職歴(貸金業務取扱主任者である場合にはその旨)、当該行為の概要、発覚年月日、発生期間、発覚の端緒)、発生原因分析、改善・対応策等について深度あるヒアリングを実施し、必要に応じて法第24条の6の10に基づき報告書を徴収することにより、貸金業者の自主的な業務改善状況を把握することとする。更に、資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題があると認められるときには、貸金業者に対して、法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令を発出することとする。また、重大・悪質な法令違反が認められるときには、法第24条の6の4に基づく業務停止命令等の発出を検討するものとする(監督指針Ⅱ-2-8(2))。

 

 

 

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2018年11月19日