第三十九問(保証)

【問題39】

Aは貸金業者、Bは個人事業主である借主、CはBの子でありBと共同して事業を行っていない保証人である。保証に関する次の①〜④の記述のうち、民法上、その内容が適切でないものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。なお、本問における契約等は、2020年4月1日以降に行われているものとする。

① Aが、Bの事業資金を融資するに当たってCとの間で保証契約を締結するに先立ち、Cの保証債務を履行する意思を表示するために作成しなければならない公正証書は、Bが主たる債務を履行しないときにCがその全額について履行する意思を表示した文書をCが作成し、公証人がその内容を認証して署名押印する方式に従って作成されなければならない。

② Aは、Bとの間で貸付契約を締結し、当該契約につきCとの間で保証契約を締結した。BがAに対して負う貸付金の返還債務について期限の利益を喪失した場合において、Aは、Cに対し、その利益の喪失を知った時から2か月を超えてもその旨を通知しなかったときは、Bが期限の利益を喪失した時から当該通知を現にするまでに生じた遅延損害金(期限の利益を喪失しなかったとしても生ずべきものを除く。)に係る保証債務の履行を請求することができない。

③ Aは、Bとの間で、Bの事業資金を融資する目的で極度方式基本契約を締結し、当該契約につき、Cとの間で個人根保証契約を締結しようとする場合、当該個人根保証契約の締結に先立ち、その締結の日前1か月以内に作成された公正証書でCが保証債務を履行する意思を表示していなければ、当該個人根保証契約はその効力を生じない。

④ Aが、Bとの間で、Bの事業資金を融資する目的で極度方式基本契約を締結し、当該契約に基づく不特定の債務を主たる債務とする根保証をBがCに委託するときは、Bは、Cに対し、「財産及び収支の状況」、「主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況」、「主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容」に関する情報提供しなければならない。

 

 

【正解】   ①

 

 

①(×)事業に係る債務についての保証契約は、公証人が、法令に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すことが要件(民法465条の6第2項4号)とされており、作成するのは公証人である。

②(〇)主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から2か月以内に、その旨を通知しなければならない(民法458条の3第1項)。期間内に通知をしなかったときは、債権者は、保証人に対し、主たる債務者が期限の利益を喪失した時から同項の通知を現にするまでに生じた遅延損害金(期限の利益を喪失しなかったとしても生ずべきものを除く。)に係る保証債務の履行を請求することができない(民法458条の3第2項)。

③(〇)個人根保証契約についても、事業性資金の保証契約であれば公正証書が必要となる(民法465条の6第2項1号ロ)。

④(〇)主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証又は主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証の委託をするときは、委託を受ける者に対し、次に掲げる事項に関する情報を提供しなければならない(民法465条の10第1項)。

 1)財産及び収支の状況

 2)主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況

 3)主たる債務の担保として他に提供し又は提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容

 

 

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2020年11月17日