第三十八問(債権譲渡)

【問題 38】

AのBに対する貸付金債権(以下、本問において「本件債権」という。)の譲渡に関する次の①〜④の記述のうち、民法上、その内容が適切でないものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。なお、本件債権について、AとBとの間で譲渡禁止の特約はなされていないものとする。また、本件債権の弁済その他本件債権の消滅に係る事由は一切生じていないものとする。

① Aが本件債権をCに譲渡した場合において、AC間の債権譲渡について、Bが承諾をした。この場合、Cは、当該債権譲渡をBに対抗することができる。

② Aが、本件債権をC及びDに二重に譲渡した場合において、AC間の債権譲渡について、AがBに対して確定日付のある証書によらない通知をし、当該通知がBに到達した後に、AD間の債権譲渡について、AがBに対して確定日付のある証書による通知をし、当該通知がBに到達した。この場合、Dは、AD間の債権譲渡をCに対抗することができる。

③ Aが、本件債権をC及びDに二重に譲渡した場合において、AC間の債権譲渡について、BがAに対して確定日付のある証書によらない承諾をした後、AD間の債権譲渡について、AがBに対して確定日付のある証書による通知をし、当該通知がBに到達した。この場合、Dは、AD間の債権譲渡をCに対抗することができる。

④ Aが、本件債権をC及びDに二重に譲渡した場合において、いずれの債権譲渡についても、Bに対して確定日付のある証書による通知がなされた。この場合、AC間の債権譲渡の通知がAD間の債権譲渡の通知よりも先にBに到達したときであっても、AD間の債権譲渡の通知に係る確定日付がAC間の債権譲渡の通知に係る確定日付よりも早い日であれば、Dは、AD間の債権譲渡をCに対抗することができる。

 

 

【正解】   4

 

 

①(○)指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない(民法467条1項)。債務者Bの承諾があるならば、譲受人Cは、当該債権譲渡をBに対抗することができる。

②(○)債権譲渡の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない(民法467条2項)。本肢では確定日付のある証書によって通知をしたDが優先される。

③(○)本肢においても確定日付のある証書が優先されるため、DはAD間の債権譲渡をCに対抗することができる。

④(×)確定日付のある証書が競合した場合、到達が早かった方が優先されるため、AC間の債権譲渡が優先される。

 

 

 

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2017年11月21日