第三十九問(弁済)

【問題 39】

弁済に関する次の①〜④の記述のうち、民法上、その内容が適切でないものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① 債務の弁済は、第三者もすることができる。ただし、その債務の性質がこれを許さないとき、又は当事者が反対の意思を表示したときは、この限りでない。弁済をすることについて法律上の利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。

② 債務者の債務を弁済するについて正当な利益を有する者は、債務者のために有効な弁済をした場合であっても、債権者の承諾を得たときでなければ、債権者に代位しない。

③ 代位弁済によって全部の弁済を受けた債権者は、債権に関する証書及び自己の占有する担保物を代位者に交付しなければならない。

④ 真正な受取証書の持参人は、弁済を受領する権限があるものとみなされる。ただし、弁済をした者がその権限がないことを知っていたとき、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。

 

 

 

【正解】   2

 

 

①(○)債務の弁済は、第三者もすることができる。ただし、その債務の性質がこれを許さないとき、又は当事者が反対の意思を表示したときは、この限りでない(民法474条1項)。また、弁済をすることについて法律上の利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない(同条2項)。

⇒(民法改正後474条)債務の弁済は、第三者もすることができる。

2 弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは、この限りでない。

3 前項に規定する第三者は、債権者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、その第三者が債務者の委託を受けて弁済をする場合において、そのことを債権者が知っていたときは、この限りでない。

4 前三項の規定は、その債務の性質が第三者の弁済を許さないとき、又は当事者が第三者の弁済を禁止し、若しくは制限する旨の意思表示をしたときは、適用しない。

②(×)弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位する(民法500条)

⇒(民法改正後)債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する(民法499条)。第四百六十七条(債権譲渡の対抗要件)の規定は、前条の場合(弁済をするについて正当な利益を有する者が債権者に代位する場合を除く。)について準用する(民法500条)。

③(○)代位弁済によって全部の弁済を受けた債権者は、債権に関する証書及び自己の占有する担保物を代位者に交付しなければならない(民法503条1項)。

④(○)受取証書の持参人は、弁済を受領する権限があるものとみなす。ただし、弁済をした者がその権限がないことを知っていたとき、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない(民法480条)。

⇒民法改正により480条は削除された。

受領権者(債権者及び法令の規定又は当事者の意思表示によって弁済を受領する権限を付与された第三者をいう。以下同じ。)以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する(民法478条)。

 

 

 

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2017年11月21日