第三十問(時効)

【問題 30】

Aは、Bに対し、AB間の金銭消費貸借契約に基づく貸付金債権(以下、本問において「本件債権」という。)を有している。この場合に関する次の①〜④の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① Bは、本件債権についての時効の利益を、あらかじめ放棄することができる。

② 本件債権の時効期間が経過した場合、本件債権が時効により消滅したことをBが援用しなくても、裁判所がこれによって裁判をすることができる。

③ Aは、本件債権の時効期間中に、本件債権の履行を催告する文書をBに送付し、当該文書がBに到達した。この場合、Aが、6か月以内に、本件債権についての裁判上の請求その他民法第153条(催告)に規定する手続を行わなければ、本件債権の時効の中断の効力は生じない。

④ 本件債権の時効期間が経過した後に、BがAを被告として本件債権の不存在の確認を求める訴訟を提起した場合において、本件債権が時効により消滅し存在しないことを認める判決がなされたときは、当該判決が確定した時点において、本件債権の時効の効力が生じる。

 

 

 

【正解】   3

 

 

 

①(×)時効の利益は、あらかじめ放棄することができない(民法146条)。

②(×)時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない(民法145条)。

③(○)催告は、6ヶ月以内に裁判上の請求その他民法の規定による手続を行わなければ、時効の中断の効力を生じない(民法153条)。

⇒(改正後民法150条)催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

 2 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。

④(×)時効の効力は、その起算日に遡る(民法144条)。

 

 

 

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2017年11月21日