第三十四問(相続)

【問題34】

相続に関する次の①〜④の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① Aは、配偶者Bのみを遺して死亡した。Bは、Aの相続人となった場合において、限定承認又は相続の放棄をしようとするときは、自己のために相続の開始があったことを知った時から6か月以内に、家庭裁判所において、限定承認又は相続の放棄の申述をしなければならない。

② Aは、配偶者B及び子Cのみを遺して死亡した。B及びCが、Aの相続人となった場合において、遺産分割協議により、Aの債権者であるDに対する借入金債務のすべてをCが相続することとしたときは、Dは、Bに対しては、当該借入金債務の弁済を請求することはできない。

③ Aは、配偶者B、Aと父母の双方を同じくする兄C及びAと父母の一方だけを同じくする弟Dのみを遺して死亡した。B、C及びDがAの相続人となった場合、Dの法定相続分は、12 分の1である。

④ Aは、配偶者B、子C及びCの子でありAの直系卑属である孫Dのみを遺して死亡した。Cが民法第891条(相続人の欠格事由)の規定に該当しAの相続人となることができなかった場合、Dは、Cを代襲してAの相続人となることはできない。

 

 

【正解】  ③

 

①(×)承認、放棄、限定承認は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に行わなければならない(民法915条1項、924条)。

②(×)遺産の分割は第三者の権利を害することはできないため(民法909条)、借入金債務のすべてをCが相続することとしたときであっても、DがBに対して借入金債務の弁済を請求することができる。

③(○)配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1を相続する(民法900条1項3号)。よってBの相続分は4分の3となり、CとDで4分の1っを分け合うことになるが、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1となる(民法900条1項4号但し書き)ため、CとDの比率は2:1となる。よってCの相続分が12分の2、Dの相続分が12分の1となる。

④(×)被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は欠格事由に該当し、若しくは廃除によって相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる(民法887条2項)。よって、Cが欠格事由に該当して相続人になれなかった場合、Cの子Dが代襲して相続人となる。

 

 

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2016年11月25日