第三十一問(債権の効力)

【問題31】

債権の効力に関する次の①〜④の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① 債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来したことを知った時から遅滞の責任を負う。

② 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定した場合において、債務の不履行があったときは、履行の請求をすることはできるが、解除権の行使をすることはできない。

③ 債務者が、弁済期が到来しているにもかかわらず、その一身に専属する権利を行使しない場合、債権者は、債務者に対して有する自己の債権を保全するため、債権者代位権を行使し、債務者の当該権利を行使することができる。

④ 債務者が、債権者を害することを知りながら債権者を害する法律行為を行った場合、債権者は、裁判外において、詐害行為取消権を行使し、当該法律行為の取消しを債務者に請求することができる。

 

 

【正解】   ①

 

①(○)債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来したことを知った時から遅滞の責任を負う(民法412条2項)。⇒(改正後412条2項)債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う。

②(×)賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない(民法420条2項)。

③(×)債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に属する権利はこの限りでない(民法423条1項)。⇒(改正後423条1)債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。

④(×)債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消を裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない(民法424条1項)。

 

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2016年11月25日