第二十九問(時効)

【問題29】

時効に関する次の①〜④の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① 裁判上の請求は、訴えが取り下げられた場合には、時効の中断の効力を生じないが、判決により訴えが却下された場合は、時効の中断の効力を生じる。

② 仮差押えは、その後に債務名義に基づく差押えがなされなかった場合には、時効の中断の効力を生じない。

③ 時効の期間の満了の時に当たり、天災その他避けることのできない事変のため時効を中断することができないときは、その障害が消滅した時から1年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

④ 時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

 

 

【正解】  ④

 

①(×)裁判上の請求は、訴えの却下又は取り下げの場合には、時効の中断の効力を生じない(民法149条)。⇒(民法改正後147条)次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。

 一 裁判上の請求

 二 支払督促

 三 民事訴訟法第二百七十五条第一項の和解又は民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)若しくは家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)による調停

 四 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加

②(×)仮差押えは取り消された場合には事項の中断の効力は生じない(民法154条)が、債務名義に基づく差押えがなされなかったからといって、時効の中断の効力が生じなくなるわけではない。

③(×)時効の期間の満了に当たり、天災その他避けることのできない事変のため時効を中断することができないときは、その障害が消滅した時から2週間を経過するまでの間は、時効は完成しない(民法161条)。⇒(改正後161条)時効の期間の満了の時に当たり、天災その他避けることのできない事変のため第百四十七条第一項各号又は第百四十八条第一項各号に掲げる事由に係る手続を行うことができないときは、その障害が消滅した時から三箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

④(○)時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない(民法145条)。

 

 

 第三十問へ

2016年11月25日