第二十二問(契約締結時書面)

【問題22】

貸金業者であるAが個人顧客であるBとの間で締結した極度方式基本契約(以下、本問において「基本契約」という。)及び基本契約に基づく極度方式貸付けに係る契約(以下、本問において「個別契約」という。)において交付すべき書面に関する次の①〜④の記述のうち、その内容が適切でないものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。なお、本問における基本契約及び個別契約は、金銭の貸付けに係る契約であって、手形の割引の契約及び売渡担保の契約ではないものとする。

① Aは、個別契約を締結した場合において、Bに対し、その承諾を得て、内閣府令で定めるところにより、一定期間における貸付け及び弁済その他の取引の状況を記載した書面として内閣府令で定めるものを交付するときは、貸金業法第17条第2項に規定する書面(契約締結時の書面)の交付に代えて、同条第6項に規定する契約年月日及び貸付けの金額等を記載した書面をBに交付することができる。

② Aは、Bと合意の上で、Bに交付した貸金業法第17条第2項に規定する書面(以下、本問において「極度方式基本契約における契約締結時の書面」という。)に記載した極度額を引き下げた後、元の額を上回らない額まで引き上げた。この場合、Aは、変更後の極度方式基本契約における契約締結時の書面をBに再交付する必要はない。

③ Aは、Bと合意の上で、Bに交付した極度方式基本契約における契約締結時の書面に記載した「極度方式基本契約に関し貸金業者が受け取る書面の内容」を変更した。この場合、Aは、変更後の極度方式基本契約における契約締結時の書面をBに再交付しなければならない。

④ Aは、基本契約について、保証人となろうとするCとの間で極度方式保証契約を締結したときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、貸金業法第17条第3項に規定する書面(保証契約における契約締結時の書面)に加え、基本契約に係る極度方式基本契約における契約締結時の書面をCに交付しなければならない。

 

 

【正解】   ③

 

①(○)貸金業者は、極度方式貸付けに係る契約を締結した場合において、その相手方又は当該契約の基本となる極度方式基本契約に係る極度方式保証契約の保証人に対し、これらの者の承諾を得て、内閣府令で定めるところにより、一定期間における貸付け及び弁済その他の取引の状況を記載した書面として内閣府令で定めるものを交付するときは、契約締結時書面の交付に代えて、次に掲げる事項を記載した書面をこれらの者に交付することができる(貸金業法17条6項)。

 一  契約年月日

 二  貸付けの金額(極度方式保証契約にあつては、保証に係る貸付けの金額)

 三  前二号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項

②(○)貸金業者は、極度方式基本契約を締結したときは、遅滞なく、その極度方式基本契約の内容を明らかにする書面をその相手方に交付しなければならない。当該書面に記載した事項のうち、重要なものとして内閣府令で定めるものを変更したときも、同様とする(貸金業法17条2項)。 ただし、当該相手方の利益の保護に支障を生ずることがないときとして次の場合を除く。

 一  極度額を引き下げたとき。

 二  極度額を引き下げた後、元の額を上回らない額まで引き上げたとき。

③(×)極度方式基本契約の内容を明らかにする書面を交付し、当該書面について重要な事項を変更したときは再交付する必要があるが、「極度方式基本契約に関し貸金業者が受け取る書面の内容」は重要な事項にはあたらない。

④(○)貸金業者は、貸付けに係る契約について保証契約を締結したときは当該保証契約の内容を明らかにする事項でを記載した書面を当該保証契約の保証人に交付しなければならない(貸金業法17条3項)。また 貸金業者は、極度方式保証契約を締結したときは、遅滞なく、当該極度方式保証契約に係る極度方式基本契約の内容を明らかにする書面を当該極度方式保証契約の保証人に交付しなければならない。(同法17条5項)。

 

 

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2016年11月25日