第三十九問(契約の解除)

【問題 39】

契約の解除に関する次の①〜④の記述のうち、民法上、その内容が適切でないものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

 

① 契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。当該意思表示は、撤回することができない。

② 債務者が契約の主たる債務につき、正当な理由なく、その責めに帰すべき事由によって、債務の本旨に従った履行をまったくしない場合において、債権者が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、当該債権者は、契約の解除をすることができる。

③ 債権者は、履行の全部が債務者の責めに帰すべき事由により不能となったときは契約の解除をすることができるが、履行の一部が債務者の責めに帰すべき事由により不能となったときは契約の解除をすることができない。

④ 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。

 

 

 

【正解】   3

 

1(○)契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。当該意思表示は、撤回することができない(民法540条1項、2項)。

2(○)当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は解約の解除をすることができる(民法541条)。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。

3(×)履行の全部又は一部が不能となったときは、債権者は、契約の解除をすることができる。ただし、その債務の不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りではない(民法542条)。債務者の責めに帰すべき事由による一部不能であっても、債権者は契約を解除することができる。⇒(改正後542条)次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。

 一 債務の全部の履行が不能であるとき。

 二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

 三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。

 四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。

 五 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。

4(○)当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない(民法545条1項)。

 

 

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2016年04月07日