第三十五問(不当利得・不法行為)

【問題 35】

不当利得及び不法行為に関する次の①〜④の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

 

① 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受けた者(以下、本問において「受益者」という。)は、そのために他人に損失を及ぼしたか否かを問わず、その利益を返還する義務を負う。悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならないが、その場合は、その他人に損害があっても、その賠償の責任を負わない。

② 債務が存在しないのに、債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知らなかったとしても、その給付したものの返還を請求することができない。

③ 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、共同行為者は、その他人に生じた損害につき、各自の加害の割合により按分された価額についてのみ、それぞれ独立して賠償する責任を負う。

④ ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

 

 

 

【正解】   4

 

1(×)法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う(民法703条)。悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う(民法704条)。

2(×)債務の弁済をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができない(民法705条)。債務の存在しないことを知らなかったときは、その給付したものの返還を請求することができる。

3(×)数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う(民法719条1項)。

4(○)ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない(民法715条1項)。

 

 

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2016年04月07日