第四問(禁止行為)

【問題 4】

貸金業者の禁止行為に関する次のa~dの記述のうち、その内容が適切なものの組合せを①~④の中から1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

a 貸金業者向けの総合的な監督指針(以下、本問において「監督指針」という。)によれば、例えば、資金需要者等から契約の内容について問合せがあったにもかかわらず、当該内容について回答せず、資金需要者等に不利益を与えることは、貸金業法第12条の6(禁止行為)第1号の規定に該当するおそれが大きいことに留意する必要があるとされている。

b 監督指針によれば、例えば、確定判決において消費者契約法第8条から第10条までの規定に該当し無効であると評価され、当該判決確定の事実が消費者庁、独立行政法人国民生活センター又は同法に規定する適格消費者団体によって公表されている条項と、内容が同一である条項を含む貸付けに係る契約(消費者契約に限る。)を締結することは、貸金業法第12条の6第4号の規定に該当するおそれが大きいことに留意する必要があるとされている。

c 貸金業の業務運営に関する自主規制基本原則によれば、協会員は、貸付けの契約の内容のうち、「重要な事項(注)」については、資金需要者等の利益に配慮した取扱いを行うものとし、特に、貸付けの利率の引上げ及び引下げ、配偶者の同意、並びに取立て行為を第三者に委託することについては、その取扱いに留意するものとされている。

d 貸金業者は、資金需要者等に対し、不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤認させるおそれのあることを告げる行為をした場合、貸金業法上、刑事罰の対象となるだけでなく、その登録をした内閣総理大臣又は都道府県知事から、その登録を取り消され、又はその業務の全部もしくは一部の停止を命じられることがある。

 

(注)重要な事項とは、資金需要者等の利害に関する事項であって、当該貸付けの契約の締結及び変更にあたり、その意思決定に影響を及ぼす事項をいう。

 

① ab

② ad

③ bc

④ cd

 

【正解】   ①

 

 

a(○)法第12条の6第1号に規定する「貸付けの契約の内容のうち重要な事項を告げない」行為に該当するかどうかは、個々の事実関係に則して判断する必要があるが、例えば、次のような行為を行う場合には、当該規定に該当するおそれが大きいことに留意する必要がある。なお、「告げる」又は「告げない」行為とは必ずしも口頭によるものに限られない(監督指針Ⅱ-2-10(2)①)。

 イ. 資金需要者等から契約の内容について問合せがあったにもかかわらず、当該内容について回答せず、資金需要者等に不利益を与えること。

 ロ. 資金需要者等が契約の内容について誤解していること又はその蓋然性が高いことを認識しつつ正確な内容を告げず、資金需要者等の適正な判断を妨げること。

b(○) 確定判決において消費者契約法(平成12年法律第61号)第8条から第10条までの規定に該当し無効であると評価され、当該判決確定の事実が消費者庁、独立行政法人国民生活センター又は同法に規定する適格消費者団体によって公表されている条項と、内容が同一である条項を含む貸付けに係る契約(消費者契約に限る。)を締結することは、貸金業法第12条の6第4号の規定に該当するおそれが大きいことに留意する必要がある(監督指針Ⅱ-2-10(2)②チ)。

c(×)当基本原則で「重要な事項」として取扱いに留意するものは下記のとおり。

 ⑴ 貸付けの利率の引上げ

 ⑵ 返済の方式の変更

 ⑶ 賠償額の予定額の引上げ

 ⑷ 債務者が負担すべき手数料等(貸付けの契約に基づいて負担する債務の元本額及び利息を除く。)の引上げ

 ⑸ 銀行振込みによる支払方法その他の返済の方法の変更及び返済を受けるべき営業所その他の返済を受けるべき場所の変更

 ⑹ 繰上げ弁済の可否及びその条件の変更

 ⑺ 期限の利益の喪失の定めがあるときはその旨及びその内容の変更

d(×)「断定的判断の提供」は刑事罰の対象とはならない。但し、行政処分の対象となる。

 

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2016年04月05日