第十四問(利息制限法)

【問題 14】

次の①〜④の記述のうち、利息制限法上、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① Aは、Bとの間で、元本を5万円とし利率を年2割(20%)とする利息の約定をして営業的金銭消費貸借契約(第一契約)を締結し5万円をBに貸し付けた。Aは、その1か月後に、第一契約に基づく債務がまったく弁済されていない時点において、Bとの間で元本を5万円とし利率を年2割(20%)とする利息の約定をして営業的金銭消費貸借契約(第二契約)を締結し5万円をBに貸し付けた。この場合、第一契約及び第二契約における利息の約定は、ともに年1割8分(18 %)を超過する部分に限り無効となる。

② Aは、Bとの間で、元本を5万円とし利率を年2割(20%)とする利息の約定をして営業的金銭消費貸借契約(第一契約)を締結し5万円をBに貸し付けた。Aは、Bが第一契約に基づく債務を完済した後に、Bとの間で元本を5万円とし利率を年2割(20%)とする利息の約定をして営業的金銭消費貸借契約(第二契約)を締結し5万円をBに貸し付けた。この場合、第二契約における利息の約定は、年1割8 分(18%)を超過する部分に限り無効となる。

③ Aは、Bとの間で、元本を50万円とし利率を年1割8分(18%)とする利息の約定をして営業的金銭消費貸借契約(第一契約)を締結し50万円をBに貸し付けた。Aは、第一契約に基づく債務の元本残高が5万円である時点において、Bとの間で元本を3万円とし利率を年2割(20%)とする利息の約定をして営業的金銭消費貸借契約(第二契約)を締結し3万円をBに貸し付けた。この場合、第二契約における利息の約定は、年1割8分(18%)を超過する部分に限り無効となる。

④ Aは、Bとの間で、元本を50万円とし利率を年1割8分(18 %)とする利息の約定をして営業的金銭消費貸借契約(第一契約)を締結し50万円をBに貸し付けた。Aは、第一契約に基づく債務の元本残高が45万円である時点において、Bとの間で元本を5万円とし利率を年2割(20%)とする利息の約定をして営業的金銭消費貸借契約(第二契約)を締結し5万円をBに貸し付けると同時に、元本を50万円とし利率を年1割8分(18 %)とする利息の約定をして営業的金銭消費貸借契約(第三契約)を締結し50万円をBに貸し付けた。この場合、第二契約及び第三契約における利息の約定は、ともに年1割5分(15%)を超過する部分に限り無効となる。

 

 

 

【正解】   4

 

①(×)同一の貸金業者が同一の債務者に対し複数回に分けて貸付けを行う場合、既に貸付けた残元本と新たに貸付けを行う額の合計額を元本とみなして、利息の上限を計算する。このとき既に貸付けた契約には影響を及ぼさない。本肢においては、第一契約には影響を及ぼさず、第二契約の利息の上限について規制の対象となる。第二契約の締結時点で元本の合計は10万円となることから、第二契約の利息の上限は18%となり、これを超過する部分は無効であるが、第一契約については18%を超える部分であっても無効とはならない。

②(×)第二契約締結時点での元本の合計額は5万円であり、利息の上限は20%であるため、18%を超過する部分についても有効である。

③(×)第二契約締結時点での元本の合計額は8万円であり、利息の上限は20%であるため、18%を超過する部分も有効である。

④(○)第二契約および第三契約の締結時点で元本の合計額は100万円となる。よって第二契約及び第三契約の利息の上限は15%であり、これを超過する部分は無効である。

 

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2016年04月06日