第三十四問(手形法・電子債権法)

【問題 34】

手形法及び電子記録債権法に関する次の①〜④の記述のうち、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① Aは、平成24 年12 月10 日を満期日として、Bに対して約束手形を振り出した。この場合、Bは、満期日である同年12 月10日から同年12月12日まで(いずれも手形法上の取引日とする。)に約束手形を呈示して、手形金の支払を受けることができる。

② Aは、Bの強迫により、Bに対して約束手形を振り出した。Cは、当該事情を知らず、かつ知らないことに重大な過失なく、Bから当該約束手形の裏書譲渡を受けた。Aは、Cから手形金の支払を請求された場合、Bの強迫を理由とする手形行為取消しの抗弁をもって、Cに対抗することができる。

③ Aは、Bに対して、一定の金額を支払うべき旨の単純な約束(支払約束文句)に加え「商品の受領と引換えに手形金を支払う」旨の記載を付した約束手形を振り出した。この場合、支払約束文句に付加された記載は無効となるが、当該約束手形自体は無効とならない。

④ Aは、Bとの間で、AのCに対する電子記録債権をBに譲渡する旨を合意した。この場合、当該電子記録債権の譲渡は、AとBとの間の合意のみによりその効力を生じ、譲渡記録は電子記録債権の譲渡の対抗要件である。

 

 

【正解】   ①

 

①(○)手形の提示は、満期日とこれに次ぐ2取引日以内に行わなければならない(手形法38条1項)。

②(×)裏書譲渡を受けた約束手形の所持人に対し、振出人は手形行為の取消の主張はできない。但し、悪意の書人に対してはこの限りではない。本問ではCは善意の第三者であるため、AはCに対抗できない。

③(×)「単純なる支払の文言」以外に付された支払条件は、手形の有害的記載事項となり、当該手形自体が無効となる。

④(×)電子記録債権の譲渡は、譲渡記録をしなければ、その効力を生じない(電子記録債権法17条)。

 

 

 第三十五問へ

2016年07月24日