第三問(禁止行為)

【問題 3】

貸金業者の禁止行為に関する次のa〜dの記述のうち、その内容が適切なものの組み合わせを①〜④の中から1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

a 貸金業者が、その貸金業の業務に関し、資金需要者等に対し、不確実な事項について断定的な判断を提供する行為は、貸金業法上、刑事罰の対象とならないが、行政処分の対象となる。

b 貸金業者が、その貸金業の業務に関し、資金需要者等に対し、虚偽のことを告げる行為は、貸金業法上、刑事罰の対象とならないが、行政処分の対象となる。

c 貸金業者向けの総合的な監督指針によれば、貸金業者が、資金逼迫状況にある資金需要者等の弱みにつけ込み、資金需要者等に一方的に不利となる契約の締結を強要することは、貸金業法第12条の6第4号で禁止される「偽りその他不正又は著しく不当な行為」に該当するおそれが大きいとされている。

d 貸金業の業務運営に関する自主規制基本規則によれば、協会員は、貸付けの契約の内容のうち、「重要な事項」(資金需要者等の利害に関する事項であって、当該貸付けの契約の締結及び変更に当たり、その意思決定に影響を及ぼす事項をいう。)については、資金需要者等の利益に配慮した取扱いを行うものとし、特に、貸付けの利率の引下げ、返済の方式の変更、賠償額の予定額の引下げ等の事由については、その取扱いに留意するものとされている。

 

① ac

② ad

③ bc

④ bd

 

【正解】   ①

 

a(○)断定的判断の提供は禁止行為であるため、行政処分の対象になるが、刑事罰の対象にならない。

b(×)資金需要者等に対し、虚偽のことを告げる行為は禁止行為であり、刑事罰・行政処分共に対象となる。

c(○)【偽りその他不正又は著しく不当な行為に該当するおそれが大きい行為】

イ. 契約の締結又は変更に際して、次に掲げる行為を行うこと。

 a. 白紙委任状及びこれに類する書面を徴求すること。

 b. 白地手形及び白地小切手を徴求すること。

 c. 印鑑、預貯金通帳・証書、キャッシュカード、運転免許証、健康保険証、年金受給証等の債務者の社会生活上必要な証明書等を徴求すること。

 d. 貸付け金額に比し、合理的理由がないのに、過大な担保又は保証人を徴求すること。

 e. クレジットカードを担保として徴求すること。

 f. 資金需要者等に対し、借入申込書等に年収、資金使途、家計状況等の重要な事項について虚偽の内容を記入するなど虚偽申告を勧めること。

ロ. 人の金融機関等の口座に無断で金銭を振り込み、当該金銭の返済に加えて、当該金銭に係る利息その他の一切の金銭の支払を要求すること。なお、一切の金銭の支払とは、礼金、割引料、手数料、調査料その他何らの名義をもってするかを問わない。

ハ. 顧客の債務整理に際して、帳簿に記載されている内容と異なった貸付けの金額や貸付日などを基に残存債務の額を水増しし、和解契約を締結すること。

ニ. 貸金業者が、架空名義若しくは借名で金融機関等に口座を開設し又は金融機関等の口座を譲り受け、債務の弁済に際して当該口座に振込みを行うよう要求すること。

ホ. 資金需要者等が身体的・精神的な障害等により契約の内容が理解困難なことを認識しながら、契約を締結すること。

ヘ. 資金逼迫状況にある資金需要者等の弱みにつけ込み、次に掲げる行為を行うこと。

 a. 資金需要者等に一方的に不利となる契約の締結を強要すること。

 b. 今後の貸付けに関して不利な取扱いをする旨を示唆すること等により、株式、出資又は社債の引受けを強要すること。

 c. 貸付けの契約の締結と併せて自己又は関連会社等の商品又はサービスの購入を強制すること。

ト. 確定判決において消費者契約法(平成12年法律第61号)第8条から第10条までの規定に該当し無効であると評価され、当該判決確定の事実が消費者庁、独立行政法人国民生活センター又は同法に規定する適格消費者団体によって公表されている条項と、内容が同一である条項を含む貸付けに係る契約(消費者契約に限る。)を締結すること。

d(×)【重要な事項】

⑴ 貸付けの利率の引上げ

⑵ 返済の方式の変更

⑶ 賠償額の予定額の引上げ

⑷ 債務者が負担すべき手数料等(貸付けの契約に基づいて負担する債務の元本額及び利息を除く。)の引上げ

⑸ 銀行振込みによる支払方法その他の返済の方法の変更及び返済を受けるべき営業所その他の返済を受けるべき場所の変更

⑹ 繰上げ弁済の可否及びその条件の変更

⑺ 期限の利益の喪失の定めがあるときはその旨及びその内容の変更

 

 

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2016年07月22日