【問題 36】
法的整理に関する次の①〜④の記述のうち、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。
① 破産法は、支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により、債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的としている。
② 民事再生法は、経済的に窮境にある債務者について、裁判所が職権により再生計画を策定し当該再生計画を遂行することにより、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的としている。
③ 会社更生法は、窮境にある株式会社又は持分会社について、更生計画の策定及びその遂行に関する手続を定めること等により、債権者、株主、社員その他の利害関係人の利害を適切に調整し、もって当該株式会社又は当該持分会社の事業の維持更生を図ることを目的としている。
④ 会社法上の特別清算は、清算をする株式会社について、その清算の遂行に著しい支障を来すべき事情があり、又は債務超過の疑いがあると認められるとき、裁判所が、職権により特別清算の開始を決定しその清算手続を遂行することを目的としている。
【正解】 ①
①(○)破産法は、は、支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により、債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする(破産法1条)。
②(×)民事再生法は、経済的に窮境にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的とする(民事再生法1条)。 裁判所が職権により再生計画を策定するものではない。
③(×)会社更生法は、窮境にある株式会社について、更生計画の策定及びその遂行に関する手続を定めること等により、債権者、株主その他の利害関係人の利害を適切に調整し、もって当該株式会社の事業の維持更生を図ることを目的とする(会社更生法1条)。 会社更生法の対象に持分会社は含まれていない。
④(×)裁判所は、清算株式会社に次に掲げる事由があると認めるときは、申立てにより、当該清算株式会社に対し特別清算の開始を命ずる(会社法510条)。
1)清算の遂行に著しい支障を来すべき事情があること。
2)債務超過の疑いがあること
特別清算は裁判所が職権により開始を決定するのではなく、申立てにより特別清算の開始を命ずるものである。