第三十三問(売買契約)

【問題 33】

A社は甲市に店舗を有する家電販売店であり、Bは甲市の遠隔地にある乙市に居住する個人の消費者である。Bは、A社の広告を見てA社が取り扱う商品を購入しようとしている。この場合におけるA社とBとの間の売買契約の成否等に関する次の①〜④の記述のうち、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① Bが、A社に対して、商品を購入する旨の申込みの通知を郵送した後に死亡した場合、民法上、A社が、Bが死亡した事実を知っていたときであっても、当該通知がA社に到達すれば、Bの商品購入の申込みは有効である。

② Bは、A社に対して、商品を購入する旨の申込みの通知を郵送し、当該通知がA社に到達した。その後、A社は、Bに対して、当該申込みに対する承諾の通知を郵送することなく、Bから購入の申込みを受けた商品をBに発送し、当該商品がBに到達した。この場合、民法上、BがA社に対して承諾の通知を必要としない旨の意思表示をしていても、A社が承諾の通知を発信していない以上、A社とBとの間の売買契約が成立することはない。

③ Bは、A社に対して、承諾の期間を定めずに商品を購入する旨の申込みの通知を郵送し、当該通知がA社に到達した後、A社は、Bに対して、当該申込みに対する承諾の通知を郵送したが、Bに到達しなかった。この場合、民法上、A社とBとの間の売買契約は成立しない。

④ Bは、A社に対して、商品を購入する旨の申込みの通知を電子メールで送信し、当該メールがA社に到達した後、A社は、Bに対して、承諾の通知を電子メールで送信したがBに到達しなかった。この場合、「民法」並びに「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」上、A社とBとの間の売買契約は成立しない。

 

 

【正解】   ④

 

①(×)隔地者に対する意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は行為能力を喪失したときであっても、そのためには効力を妨げられない(民法97条2項)が、相手方が申込者の死亡又は行為能力の喪失の事実を知っていた場合には、適用しない(民法525条)。

②(×)申込者の意思表示又は取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合には、契約は、承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立する(民法526条2項)。

③(×)隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する(民法526条1項)。

④(○)隔地者間の契約において電子承諾通知を発する場合については、民法による承諾通知にかかる規定は適用しない。 また電子消費者契約では、承諾の通知を電子メールで送信し、到着した時に契約が成立する。

 

 

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2016年07月26日