第三十問(連帯保証)

【問題30】

Aは、Bとの間で、Aを貸主としBを借主とする金銭の貸付契約を締結しようとしており、Bは、当該貸付けについて、CをBの連帯保証人としようと考えている。この場合に関する次の①〜④の記述のうち、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。なお、A及びCは貸金業者ではないものとする。

① AがBとの間で貸付契約を締結し、当該貸付契約につきAがCとの間で連帯保証契約を締結した後、Aは、Bに対して当該貸付契約に基づく債務の履行を催告したが、Bが弁済をしないため、Cに対して保証債務の履行を請求した。この場合において、民法上、Cが、Bに弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、Aは、まずBの財産について執行をしなければならない。

② AとBとの間の貸付契約につきBが保証人を立てる義務を負う場合において、BがAから保証人となるべき者を指名されることなくCを保証人とするときは、民法上、Cは、行為能力者であり、かつ弁済をする資力を有する者でなければならない。

③ AがBとの間で貸付契約を締結し、当該貸付契約につきAがCとの間で連帯保証契約を締結した場合において、BがAに対して当該貸付契約に基づく債務の弁済猶予を求め当該債務の消滅時効が中断したとしても、民法上、CのAに対する連帯保証債務の消滅時効は中断しない。

④ AがBとの間で貸付契約を締結し、CはBの委託を受けてAとの間で連帯保証契約を締結した後、Bは破産手続開始の決定を受け、Aがその破産財団の配当に加入した。この場合、民法上、Cは、Bに対して、あらかじめ、求償権を行使することができる。

 

 

【正解】   ②

 

①(×)連帯保証人には検索の抗弁権(主たる債務者に資力がある場合に、まず主たる債務者の財産について執行を求める権利)はない。

②(○)債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は次に掲げる要件を具備する者でなければならない(民法450条1項)。

 1)行為能力者であること

 2)弁済をする資力を有すること

③(×)主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の中断は、保証人に対しても、その効力を生ずる(民法457条1項)。

④(×)主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ、債権者がその破産財団の配当に加入しないときは、保証人は主たる債務者に対して、あらかじめ求償権を行使することができる(民法460条1項1号)。本問では債権者が破産財団の配当に加入しているので、あらかじめ求償権を行使できない。

 

 

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2016年07月26日