第二十九問(債務の相続)

【問題 29】

A及びBは、Cに対し、負担部分を平等の割合として、連帯して100万円の借入金債務(以下、本問において「本件債務」という。)を負っている。Aが死亡し、その配偶者Dと子E及びFがAの相続人となった。この場合に関する次の①〜④の記述のうち、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① D、E及びFが、遺産分割協議において、本件債務について、Eがその全部を承継し、D及びFはこれを承継しない旨を定めた場合、Cは、Dに対して本件債務のDの法定相続分の弁済を請求することができない。

② Cは、Bに対し、本件債務の全額の弁済を請求することはできない。

③ EがAから承継した本件債務のEの法定相続分について消滅時効が完成した場合、Bは、本件債務のEの負担部分について、その返済義務を免れる。

④ FがAから承継した本件債務のFの法定相続分について、CがFに対して免除する意思を表示した場合、D及びEは、それぞれAから承継した本件債務の自己の負担部分のうちFの負担部分に相当する割合について、その返済義務を免れる。

 

 

【正解】   ③

 

①(×)遺産分割の効力は、第三者の権利を害することはできない(民法909条)ので、Eが債務の全部を承継したとしても、連帯債務者のDに対して弁済の請求をすることができる。

②(×)数人が連帯債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての連帯債務者に対し全部又は一部の履行を請求することができる(民法432条)。

③(○)連帯債務者の一人のために時効が完成したときは、その連帯債務者の負担部分については、他の連帯債務者も、その義務を免れる(民法439条)。

④(×)連帯債務者の一人に対してした債務の免除は、その連帯債務者の負担部分についてのみ、他の連帯債務者の利益のためにも、どの効力を生ずる(民法437条)。自己の負担部分について影響を与えるものではない。

 

 

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2016年07月26日