第三十七問(弁済)

【問題 37】

Aは、Bとの間で金銭消費貸借契約を締結し、Bから500万円を借り受けた。本件金銭消費貸借契約においては、第三者による弁済を禁止する旨の特約はなされていない。この場合に関する次の①〜④の記述のうち、その内容が適切でないものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。ただし、AもBも商人ではないものとする。

① AとBとの間で、弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、AはBの現在の住所において、借入金債務を弁済しなければならない。

② Aの友人であるCは、BのAに対する貸金債権を被担保債権として、自己の所有する建物に抵当権を設定した。この場合、Cは、Aの意思に反してAのBに対する借入金債務を弁済することはできない。

③ Aの友人であるDは、Aの債務を弁済することについて法律上の利害関係を有しないが、Aの同意を得て、AのBに対する借入金債務を弁済した。この場合、Dは、その弁済と同時にBの承諾を得て、Bに代位することができる。

④ AとBとの間で、弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、原則として、Aの負担となる。

 

 

【正解】   ②

 

①(○)弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれしなければならない(民法484条)。

②(×)利害関係を有しない第三者は、債務者の意志に反して弁済をすることができない(民法474条2項)が、担保提供者であるCは利害関係者であるため、弁済をすることができる。

③(○)債務者のために弁済をした者は、その弁済と同時に債権者の承諾を得て、債権者に代位することができる(民法499条1項)。

④(○)弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、債務者の負担とする。ただし、債権者が住所の移転その他の行為によって弁済の費用を増加させたときは、その増加額は、債権者の負担とする(民法485条)。

 

 

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2017年02月07日