第二十九問(代理)

【問題 29】

Aは、Bが所有する甲土地をBから2,000万円以下で購入する旨の代理権をCに授与した。この場合に関する次の①〜④の記述のうち、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① 民法上、Cが、Aの代理人として、Aのためにすることを示さないでBとの間で甲土地の売買契約を締結した場合、Bが、当該契約を締結するに際し、当該契約がAのためにされたものであることを知っていたときであっても、甲土地の売買契約はCのためにしたものとみなされる。

② Cは、Aから甲土地の購入について代理権を授与されている一方で、Bからも甲土地の売却について代理権を授与されていた。この場合において、Cが、A及びBの事前の許諾を得ることなく、A及びBの双方の代理人として、甲土地をAに3,000万円で売却する旨の契約を締結したときは、Cの本件行為は無権代理行為となる。

③ Cは、Bとの間で甲土地の売買契約を締結するに当たり、Aの許諾を得ていなければ、たとえやむを得ない事由があっても、第三者であるDを本件売買契約の復代理人として選任し、Dに甲土地の売買契約を締結させることはできない。

④ CがBと交渉をした結果、甲土地の価格はAが希望する価格以下とならなかったが、甲土地とは別にBが所有している乙土地はAの希望価格で購入できることが判明した。そこでCは、Aの事前の同意を得ることなく、Bとの間で、Aの代理人として乙土地の売買契約を締結した。この場合、Bが、乙土地の売買契約を締結するに際し、Cに乙土地を購入する代理権がないことを知っていたとしても、乙土地の売買契約はAとBとの間に当然にその効力を生ずる。

 

 

【正解】   ②

 

 

①(×)代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、本人に対して直接にその効力を生ずる(民法100条)。BがAのためになされる契約であることを知っていたときは、Aのためになされた契約として効力が生ずる。

②(〇)同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない(民法108条)。

③(×)委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない(民法104条)。

④(×)代理人が権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときは、本人が責任を負うため、契約は有効となるが、Cに代理権がないことを知っていた場合には、無権代理行為となり本人が追認しなければ契約は効力を生じない(民法113条)。

 

 

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2017年02月05日