第二十八問(意思表示)

【問題 28】

意思表示に関する次の①〜④の記述のうち、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とされるが、表意者が、意思表示の動機又は縁由を表示していなくても、当該動機又は縁由は、法律行為の要素となる。

② 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とされるが、当該意思表示をした表意者が錯誤を知って追認をしたときは、当該錯誤による意思表示は初めから有効であったものとみなされる。

③ 詐欺による意思表示は取り消すことができるが、当該意思表示をした者が、詐欺による意思表示であることを知って追認をしたときは、以後、取り消すことができない。

④ 強迫による意思表示は取り消すことができるが、強迫による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。

 

 

【正解】   ③

 

 

①(×)意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする(民法95条)。表意者が、意思表示の動機等を表示していた場合には、法律行為の要素となり得るが、これらを表示していない場合には法律行為の要素とならない。

②(×)無効な行為は、追認によってもその効力を生じない。ただし、当事者がその行為の無効であることを知って追認したときは、新たな行為をしたものとみなす(民法119条)。

③(○)取り消すことができる行為は、取消権者が追認したときは、以後、取り消すことができない。ただし、追認によって第三者の権利を害することはできない(民法122条)。

④(×)強迫による意思表示の取消は、善意の第三者に対抗することができる。これは意思表示者の保護の要請が強いためである。一方、詐欺による意思表示の取消は、善意の第三者に対抗することができない(民法96条3項)。これは詐欺による意思表示者に対し、一定の責任を負わせているものと考えられる。

 

 

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2017年02月05日