第九問(受取証書)

【問題  9】

貸金業者であるA社は、貸金業法の完全施行日後に、個人顧客であるBとの間で貸付けに係る契約(極度方式基本契約及び極度方式貸付けではない。以下、本問において「本件貸付契約」という)を締結し、契約書を作成した上でBに金銭を貸し付けた。この場合に関する次の①〜④の記述のうち、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① A社は、Bから本件貸付契約に基づく債権についてその全部の弁済を受けた。この場合、A社がBに交付すべき「貸金業法第18条第1項に規定する書面」(以下、本問において「受取証書」という)には、受領年月日を記載する必要はあるが、契約年月日を記載する必要はない。

② A社が、本件貸付契約において利息制限法第1条に規定する金額を超える利息を定めていた場合、Bが借入金債務の全部を任意に弁済し、A社が受取証書をBに交付すれば、利息制限法第1条に規定する金額を超える利息の契約は有効となる。

③ A社は、Bから、預金の口座に対する払込みにより、本件貸付契約に基づく債権の一部について弁済を受けた場合には、Bから請求を受けたときであっても、受取証書をBに交付する必要はない。

④ A社は、Cとの間で本件貸付契約について連帯保証契約を締結し、本件貸付契約に係る契約書に連帯保証人としてCの署名押印を得た。A社が、Cから保証債務の全部の弁済を受けた場合、A社は、遅滞なく、Cに対し本件貸付契約に係る契約書を返還しなければならない。

 

 

【正解】   ④

 

 

 

①(×)契約年月日は受取証書の記載事項である(貸金業法18条1項2号)。

②(×)貸金業者は、その利息が利息制限法第1条 に規定する金額を超える利息の契約を締結してはならない(貸金業法12条の8第1項)。当該契約は貸金業法上は無効である。

③(×)預金口座に対する払込みにより弁済を受けた場合、弁済者から請求があった場合には、受取証書を当該弁済者に交付しなければならない。

④(○)貸金業者は、貸付けの契約に基づく債権についてその全部の弁済を受けた場合において当該債権の証書を有するときは、遅滞なく、これをその弁済をした者に返還しなければならない(貸金業法22条)。 連帯保証人から弁済を受けた場合は、契約書を連帯保証人に返還しなければならない。

 

 

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2017年02月15日