第三十七問(仮差押え)

【問題 37】

A社はBに金銭を貸し付けたが、Bが借入金の返済をしないため、Bの所有する不動産について仮差押えの申立てをした。この場合に関する次のa〜dの記述のうち、その内容が適切なものの組み合わせを①〜④の中から1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

a 本件不動産に対する仮差押命令が発令されるためには、借入金返還請求権について、強制執行することができなくなるおそれがあること、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあることが必要である。

b A社は、本件不動産に対する仮差押えを申し立てた裁判所から、担保を立てるべきことを命じられた。この場合、A社とBとの間に特別の契約がなされていなければ、A社は、金銭又は有価証券を供託する方法のほか、当該裁判所の許可を得て、銀行、保険会社等との間で民事保全規則第2条に規定する支払保証委託契約を締結する方法により担保を立てることができる。

c Bは、本件不動産に対する仮差押命令が発令された場合において、仮差押命令に異議があるときは、仮差押命令決定書の正本の送達を受けた日から2週間以内であれば、当該仮差押命令に対する異議の申立てをすることができる。

d 本件不動産に対する仮差押えの執行は、執行官が本件不動産の所在地に赴いて行う必要がある。

① ab

② ac

③ bd

④ cd

 

 

【正解】    ①

 

 

 

a(○)仮差押命令は、金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる(民事保全法20条1項)。

b(○)A社は、本件不動産に対する仮差押えを申し立てた裁判所から、担保を立てるべきことを命じられた。この場合、A社とBとの間に特別の契約がなされていなければ、A社は、金銭又は有価証券を供託する方法のほか、当該裁判所の許可を得て、銀行、保険会社等との間で民事保全規則第2条に規定する支払保証委託契約を締結する方法により担保を立てることができる。

c(×)保全異議の申立てがあった場合において、保全命令の取消しの原因となることが明らかな事情及び保全執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることにつき疎明があったときに限り、裁判所は、申立てにより、保全異議の申立てについての決定において第三項の規定による裁判をするまでの間、担保を立てさせて、又は担保を立てることを条件として保全執行の停止又は既にした執行処分の取消しを命ずることができる。

d(×)不動産に対する仮差押えの執行は、仮差押えの登記をする方法又は強制管理の方法により行う。これらの方法は、併用することができる(民事保全法47条1項)。

 

 

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2017年02月16日