第三十四問(相続)

【問題 34】

AはB社から100万円を借り入れたが、借入金をB社に返済しないうちに死亡した。Aの相続人としては配偶者C及び子Dがおり、AにはC及びDの他に相続人はいないものとする。この場合に関する次の①〜④の記述のうち、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① CとDとの間で、DがAの財産及び負債のすべてを相続する旨の遺産分割協議がととのった場合であっても、B社はCに法定相続分の限度で貸付金の返還請求をすることができる。

② CとDとの間で、Aの財産及び負債について法定相続分の割合で相続する旨の遺産分割協議がととのった場合であっても、B社はDに対して100万円全額の請求をすることができる。

③ C及びDが限定承認をしようとする場合、あらかじめ、すべての相続債権者に対して、限定承認をすること及び一定期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。

④ C及びDが限定承認をした場合、Aの財産の多寡を問わず、B社はAに対する貸付金の回収をすることはできなくなる。

 

 

 

【正解】   ①

 

 

 

①(○)遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない(民法909条)。

②(×)B社がDに対して請求できるのは、法定相続分の範囲内である。

③(×)相続人は、限定承認をしようとするときは、相続開始があったことを知った時から3か月以内に、相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述しなければならない(民法924条)。

④(×)相続人が限定承認をしたときは、その被相続人に対して有した権利義務は、消滅しなかったものとみなす(民法925条)。B社の貸付金が消滅したわけではないので、Aの財産によって請求できる場合がある。

 

 

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2017年02月16日