宅建試験との併願について

貸金業務取扱主任者試験と宅地建物取引士試験の併願について、質問を受けることがありますので、こちらで検討してみたいと思います。あくまでも個人的な見解であることをご了承ください。

① 試験の時期

 宅建の試験日は概ね10月の第三日曜日(2017年は10月15日)、貸金業務取扱主任者試験は、11月の第三日曜日(2017年はまだ公表されていません)に行われています。申込時期は双方とも7月頃から開始されますので、それぞれの試験主催者のHPなどで確認しておきましょう。

② 試験の難易度

 試験の難易度については、一般的に宅建の方が難しいといわれています。特に民法の分野では近年の宅建試験では出題の幅も広く、判例からの出題もありますので得点源にするのは難しいと考える受験生が多いようです。

➂ 試験の出題範囲

 貸金業務取扱主任者試験では貸金業法を中心に、民法、会計・税務の分野のほか、個人情報保護法、犯罪収益移転防止法、破産法など幅広く出題されます。一方、宅地建物取引士試験では宅建法と民法、不動産関連の税法のほか、都市計画法や農地法、建築基準法ほか不動産関連の法令が幅広く出題されます。双方の試験範囲で民法が重なっています。また宅建業法と貸金業法でそれぞれ登録に関する箇所は似通った部分もありますが、並行して勉強しようとすると却ってややこしくなり非効率になるかもしれません。

④ 実務への影響

 実務において双方の資格が必要になる場面はあまりないと思われます。但し、不動産関連の投資運用業者等では宅建業者と貸金業者の双方を登録している業者も多いため、このような業態の会社に勤務するのであれば、双方の資格が役に立つものと思われます。宅建業者については、顧客への信用供与は禁止されている(宅建業法により)ため、双方の資格を取得する必要性はあまりないかもしれません。一方で貸金業者であれば、不動産を担保に貸出することも考えられますので、不動産の知識は役に立つものと思われます。

⑤ 試験対策

 宅建士試験の標準的な学習期間は概ね3~6か月程度、貸金業務取扱主任者試験は概ね1~3か月程度といわれています。概ね民法の完成度で必要な期間は長短するようですが、併願するのであれば、まずは宅建に集中し、宅建試験が終わってから1か月間で貸金業務取扱主任者試験の対策をすれば間に合うと思います。これは宅建試験の対策で概ね民法が完成するからです。宅建試験の後、貸金業法をしっかりと固めれば合格ラインに届くものと考えています。宅建試験は宅建業法、貸金業務取扱主任者試験は貸金業法が得点源になりますが、双方とも暗記で乗り越えられますので、短期集中で効率よく学習すれば十分に併願は可能と思われます。

2017年02月16日