第九問(帳簿)

【問題  9】

貸金業法第19条に規定する帳簿(その閲覧又は謄写を請求する者に利害関係がある部分に限る。以下、本問において「帳簿」という。)の閲覧又は謄写に関する次の①〜④の記述のうち、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① 貸金業者は、債務者等に代わって6年前に弁済をした者から帳簿の閲覧の請求を受けた場合、当該請求が当該請求を行った者の権利の行使に関する調査を目的とするものであることが明らかであっても、当該請求を拒むことができる。

② 貸金業者は、その営業時間終了後に、債務者から膨大な量の帳簿の謄写の請求を受けた場合において、翌営業日以降に再度帳簿の謄写の請求をするよう当該債務者に求めたときは、当該請求を拒否したものとされる。

③ 貸金業者は、債務者の法定代理人から帳簿の謄写の請求を受けた後に、当該法定代理人から帳簿の閲覧の請求を受けた場合、当該閲覧の請求が当該法定代理人の権利の行使に関する調査を目的とするものであることが明らかであっても、当該閲覧の請求を拒むことができる。

④ 貸金業者向けの総合的な監督指針によれば、帳簿の閲覧又は謄写に関する貸金業者の監督に当たっては、無人契約機やインターネットなど、対面以外の方法で契約の締結等を行う貸金業者については、帳簿の閲覧等の請求者が遠隔地に居住するなど来店が困難である場合に際して、帳簿の複写請求や複写物の郵送請求に配慮しているかに留意する必要があるとされている。

 

【正解】  ④

 

①(×)貸金業者の帳簿は営業所ごとに10年間保存しなければならない。また、債務者等または債務者等であった者は、貸金業者の営業時間内に帳簿の閲覧請求ができる。この閲覧請求は、その請求者の権利行使に関する調査でないことが明らかでない限り拒むことはできない。

②(×)このような場合は、閲覧請求を拒否したものとはみなされない。

③(×)帳簿の閲覧請求権は、債務者等または債務者等であった者のほか、その相続人や代理人、代弁した者においても行使することができる。よって本肢のような場合は閲覧請求を拒むことはできない。

④(○)帳簿の閲覧請求に関して、監督指針における主な着眼点は下記のとおり。

 1)債務者等又は債務者等であった者(以下「帳簿の閲覧等の請求者」という。)から帳簿の閲覧又は謄写を求められた際の対応について、帳簿の閲覧等の請求者が本人又は正当な委任を受けた代理人等であるか確認したうえで、過度の負担を課すことなく迅速に帳簿の閲覧又は謄写に応じるよう社内規則等を定めているか。なお、本人又は正当な委任を受けた代理人等であるかの確認及び閲覧又は謄写の方法に関し、正当な理由なく過度な負担を課す場合は、帳簿の閲覧又は謄写の拒否に該当するおそれがあることに留意する必要がある。

 2)帳簿の閲覧又は謄写に必要な物的設備を確保し、閲覧又は謄写の方法等が帳簿の閲覧等の請求者にわかるようになっているか。また、帳簿の閲覧等の請求者から帳簿の閲覧又は謄写に関する問合せ等があった場合、迅速かつ適切に対応できる態勢となっているか。

 3)無人契約機やインターネットなど、対面以外の方法で契約の締結等を行う貸金業者については、帳簿の閲覧等の請求者が遠隔地に居住するなど来店が困難である場合に際して、帳簿の複写請求や複写物の郵送請求に配慮しているか。帳簿の複写や複写物の郵送に係る実費を徴収する場合、当該金額は適正かつ適切な金額となっているか。また、帳簿の閲覧又は謄写の請求者から当該実費の内容について説明を求められた場合、その内容を説明する態勢が整備されているか。

 4)内部管理部門において、社内規則等に基づき、帳簿の閲覧等の請求者に対し適切な帳簿閲覧又は謄写が行われているか検証する態勢が整備されているか。

 

 

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2016年07月22日