第二十一問(契約変更書面)

【問題 21】

貸金業者であるA社は、個人顧客であるBとの間で貸付けに係る契約を締結しようとしている。この場合に関する次の①〜④の記述のうち、その内容が適切でないものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。なお、本問における貸付けに係る契約は、手形の割引の契約、売渡担保の契約及び金銭の貸借の媒介の契約ではないものとする。

① A社は、Bとの間で賠償額の予定に関する定めをして貸付けに係る契約(極度方式基本契約及び極度方式貸付けに係る契約ではない。)を締結した後、Bと合意の上で賠償額の予定に関する定めの内容を変更した。この場合、当該変更がBの利益となる変更に該当するときは、A社は、変更後の賠償額の予定に関する定めの内容が記載された「貸金業法第17 条第1項後段に規定する書面」(以下、本問において「契約変更時の書面」という。)をBに交付する必要がない。

② A社は、Bとの間で貸付けに係る契約(極度方式基本契約及び極度方式貸付けに係る契約ではない。)を締結した後、Bと合意の上で当該貸付けに係る契約に基づく債権につきBに物的担保を供させることとした。この場合、A社は、当該担保の内容が記載された契約変更時の書面をBに交付する必要がない。

③ A社は、Bとの間で極度方式基本契約を締結し当該極度方式基本契約に基づく極度方式貸付けに係る契約を締結した。その後、A社が、Bと合意の上で当該極度方式基本契約における貸付けの利率を引き上げ、変更後の貸付けの利率が記載された「貸金業法第17 条第2項後段に規定する書面」(以下、本問において「極度方式基本契約における契約変更時の書面」という。)をBに交付した場合、A社は、当該極度方式貸付けに係る契約について契約変更時の書面をBに交付する必要がない。

④ A社は、Bとの間で極度方式基本契約を締結した後、Bと合意の上で、いったん極度額を引き下げた後に再び引き上げた。この場合において、引き上げ後の極度額が当該極度方式基本契約締結時に定めた極度額を超えないときは、A社は、変更後の極度額が記載された極度方式基本契約における契約変更時の書面をBに交付する必要がない。

 

 

【正解】   ②

 

①(○)賠償額の予定について、契約の相手方の利益となる変更を加える場合には、契約変更時の書面を交付する必要はない(貸金業法施行規則13条4項1号)。

②(×)当該契約に基づく債権につき物的担保を供させるときは、当該担保の内容を記載した契約変更時の書面を交付しなければならない(貸金業法施行規則1項1号ル)。

③(○)極度方式貸付の場合、交付する必要があるのは、契約変更後の貸付の利率が記載された極度方式基本契約である。

④(○)引き上げ後の極度額が、当初の極度額を超えないときは契約変更時の書面を交付する必要はない。

 

 

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2017年02月04日