第十三問(利息制限法)

【問題13】

利息制限法上の営業的金銭消費貸借及び貸金業法に関する次の①〜④の記述のうち、その内容が適切なものを1つだけ選び、解答欄にその番号をマークしなさい。

① 貸金業者であるX社は、個人顧客であるYに50万円を年1割8分(18%)で貸し付けた。その後、当該営業的金銭消費貸借契約に基づく債務の残元本の額が25万円である時点において、X社は、Yに5万円を年2割(20%)で貸し付けた。この場合、2番目に締結された営業的金銭消費貸借上の利息が、1割8分(18%)を超過する部分について、無効となるだけでなく、X社は、貸金業法上、行政処分を課されることがある。

② 貸金業者であるX社は、個人顧客であるYに5万円を年1割6分(16 %)で貸し付けた。その後、当該営業的金銭消費貸借契約に基づく債務がまったく弁済されていない時点において、X社は、Yに20万円を年1割8分(18%)で貸し付けた。この場合、2番目に締結された営業的金銭消費貸借上の利息が、1割6分(16 %)を超過する部分について、無効となるだけでなく、X社は、貸金業法上、行政処分を課されることがある。

③ 貸金業者であるX社は、個人顧客であるYに20万円を年1割8分(18%)で貸し付けた。その後、当該営業的金銭消費貸借契約に基づく債務がまったく弁済されていない時点において、X社の子会社であり貸金業者であるZ社は、Yに85万円を年1割8分(18%)で貸し付けた。この場合、Z社のYに対する営業的金銭消費貸借上の利息が、1割5分(15%)を超過する部分について、無効となるだけでなく、Z社は、貸金業法上、行政処分を課されることがある。

④ 貸金業者であるX社は、個人顧客であるYに100万円を年1割5分(15 %)で貸し付けた。その後、当該営業的金銭消費貸借契約に基づく債務の残元本の額が5万円である時点において、X社は、午前10 時にYに10万円を年1割8分(18%)で貸し付け、同日午後2時にもYに5万円を年2割(20%)で貸し付けた。この場合、3番目に締結された営業的金銭消費貸借上の利息が、1割5分(15 %)を超過する部分について、無効となるだけでなく、X社は、貸金業法上、行政処分を課されることがある。

 

 

【正解】   ①

 

①(〇)利息制限法では既存の貸付の残高と新規の貸付の残高を合算して、元本の額が10万円未満の場合は年20%、10万円以上100万円未満の場合は年18%、100蔓延以上の場合は年15%が上限金利となる。また上限金利を超える貸付契約を締結した場合には、上限金利を超える部分が無効となる。本問においては、25万円の残高がある時点で5万円の新規契約を締結しているので、上限金利は18%となり、これを超える部分が無効となる。

②(×)第一貸付の元本が5万円の時点で、第2貸付25万円の契約をしたときの上限金利は18%となる。第一貸付が16%の約定金利であったとしても利息制限法上は影響を受けないため、本問における第2貸付の金利は無効とならない。

③(×)元本額を合算して利息を制限する特則は、同一の貸金業者から重ねて或いは複数の貸付契約を締結した場合に適用されるが、子会社の場合は別会社であり、この特則の制限を受けない。

④(×)元本額が5万円である時点で10万円を貸し付けたときの上限金利は18%であり、同日の午後に5万円を貸付けたときは、元本の合計額が20万円であるため18%が上限となる。よって18%を超える部分が無効となる。

 

 

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2017年02月03日