「恋の香り」を撮る
2月中旬以降、「梅の花」の撮影に取り組みました。
梅の花の撮影には、相当な時間と労力がかかります。
様々な分類
梅の種類は、日本国内だけでも、400種類にのぼります。
その分類方法もたくさんあります。
色彩、花型、咲く時期、実と花、産地などの区分があります。
長い花期
梅の花は、徐々に開花して、満開になり、散るまでの 期間が長く、また、品種によって開花時期が異なります
テーマは香り
撮影にあたっては、テーマを絞り込む必要があります。
今回は「梅の花のかおり」をテーマにしました。
かおりと平安貴族
日本には、すでに万葉集時代から、梅は取り上げられています。
平安時代になって、香りが尊ばれ、恋の手段として利用されました。
藤原定家が選んだ、お馴染みの「小倉百人一首」があります。
人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほいける
紀 貫之
あらざらむ この世のほかの 思い出に 今ひとたびの 逢ふこともがな
和泉式部
平安時代には、古今集をはじめ、8つの勅撰和歌集が50年ごとに編纂されています
平安時代にさかのぼり、平安貴族の人々が感じ取っていた、
自然の移り変わりに対する美意識としのぶ恋に揺れる心の触れあいを
学び、写真によって日本的な雰囲気を醸してみました。
香りの寿命は短い
梅の花の香りには、次のような特徴があります。
これらを参考にして撮影計画を立てました。
- 開花の段階によって香りが違う。
- 開花時間により香気量が変化。
- 最高のフレッシュな香りを放つのは開花直後の朝。
- 品種によって香りは異なる。
- 白梅と紅梅とでは明らかに香り成分に違いがある。
参考:花王の研究による。
近所の紅梅の枝垂れ梅は2日前には甘い、良い匂いがしましたが、 雨上がりの2日後には匂いが無くなってなっていました。
撮影知識
- 写真撮影前にまず、品種を確かめます。
- 花を両手に包み、香りを嗅ぐ。
香りは朝の開花時、開花後2日間以内、満開時期では遅い。 - 花を特定。
- (1)紅梅:甘い香り、桃のような香り、薄いピンク、ほのかな恋、
- (2)白梅:清涼な香り、リンゴのような香り、純白、すっきりとした、
- 雰囲気づくり、
色彩:柔らかなトーンイメージ。(明暗、彩度、色相をグループ化したもの)
光:逆光、明るい陽射し。- (1)ソフトトーン やわらかい、穏やかな、ぼんやり
色相:背景、緑 - (2)ライトトーン 軽い、澄んだ、さわやか、楽しい、
色相:背景、青い空
- (1)ソフトトーン やわらかい、穏やかな、ぼんやり
- ピント:花が小さいのでMF手動、三脚使用、小さなボケを入れる。
- 梅園風景
- (1) 全体:柔らかな雰囲気、俯瞰撮影、パンホーカス利用
- (2) 木の配置:三等分構図、木の影:斜光、ローアングル
- (3) 梅の剪定された樹形美
- (4) めじろ(鳥):春らしい動きを加える
写真を見て、柔らかで、上品な梅の香りは伝わりますか。
やはり、実物の花のかおりを嗅ぐのをお勧めします。
懐かしい若き頃を思い出してみてはいかがでしょうか
2023.2.27 大野 幸二 さん 投稿